乗り鉄、撮り鉄、押し鉄、収集鉄…外出自粛中の鉄道ファンが“おうち鉄活”を楽しめそうな新アイテム「鉄道花札ーてつふだー」が発売されました。手掛けたのは「JR時刻表」や「鉄道ダイヤ情報」などの発行で知られる出版社、交通新聞社(東京都千代田区)。商品化にあたっては全国JR6社の許諾・承認済みという、超本格派の花札です。
花札通も納得の出来
くしろ湿原ノロッコ号や特急いしづち、SLやまぐち号など、JRの列車12種類を48枚の絵札で表現。1編成を4分割した絵札には、各地の名所や名産も盛り込まれ、兵庫県民にはおなじみの姫路駅「えきそば」も登場します。
花札通の職場の先輩に同商品を見せたところ「かわいらしい絵やけど、ちゃんと作られてるやん」と感心しきり。しかしそこは鉄道花札。通常の花札で交わされる「勝負」や「こいこい」などの宣言の掛け声は「出発進行!」「ご乗車ありがとうございました」という鉄っぷり。車掌ものまねが絶品のお笑い芸人「中川家」の礼二さんと一緒にプレイしたくなります。
宝塚在住27歳が作者
イラストを担当したのは、兵庫県宝塚市在住の乗り物イラストレーター井上広大さん(27)。普段は神戸市内の画材店店員として働きながら、イラスト活動も続ける井上さんに制作裏話を聞きました。
--担当するきっかけは?
「私のホームページをご覧になられた交通新聞社の担当者様からオファーをいただきました。鉄道柄の花札を考案中と聞き、全国進出のチャンスと思いチャレンジすることにしました」
--絵札は48枚。完成までの日数は?
「2019年の4月から9月ごろまで、ほぼ半年かかりました」
--ご自身も乗り物好き。制作中は楽しめた?
「東京や九州などに取材旅行をし、構想を練っていくところが楽しかったですね。いろんな車両を見て、乗って、いろんな場所へ行って。本当にたくさんの刺激を受けました。そこで膨らませたイメージを絵に取り込んでいきました」
--大変だったことは?
「花札の要素を残しつつ、列車やご当地の風景などを含んだ画面にまとめることに本当に苦労しました。微修正を何度もくり返し進めました」
隠れキャラにもご注目
--個人的にお気に入りの絵札は?
「迷いますがN700系の札『のぞみに鹿』ですね。東京駅の細かいところまでこだわった点に達成感があります。山手線E235系の札『山手線にあやめ』にはこだわりがあって、あやめつながりでこそっと『特急あやめ』(2015年に廃止)のE257系を入れました」
--ここも見て!というポイントは?
「JR四国さんの8600系(萩)の札には讃岐うどんとイヨカンが隠れています。サンライズエクスプレス(菊)の札は夜行列車ということで、4枚で東京から夜の東海道、姫路そして出雲市と、夜から朝に移り変わる様子も表現しています」
ルール知らなくても大丈夫
花札のルールを知らないという方もご安心を。2019年12月、東京の書店で開催された先行体験会では、参加した子どもたちがオリジナルゲームを実践。目の当たりにした井上さんは「子どもたちが列車の編成を合わせる神経衰弱のような遊び方をしているのを見て、『なるほど!こういう遊び方もできるのか』と感心しました」と無限の可能性を喜びます。
「鉄道が好きな方、カードゲームが好きな方、そうでもないけど面白そうだなと思っている方、ぜひこの機会に手にとって遊んで欲しいなと思います。額に入れてインテリアとして使うのも面白いのではないかと思います」
全国の書店やネット書店で発売中。1600円(税抜)。