高齢女性が飼い猫の面倒を見られなくなった 飼育放棄された兄弟猫は保護され猫カフェへ

渡辺 陽 渡辺 陽

介護が必要な高齢の女性が3匹の猫を飼っていた。可愛がってはいたが、あまり面倒をみることができず、家族も放置していた。見るに見かねたヘルパーが、猫ボランティアに相談、猫たちは保護された。大阪から岐阜県にやってきた猫たちは、猫カフェにデビューして里親が現れるのを待った。

 

エサだけ与えて放置されていた飼い猫

大阪に住む高齢の女性が銀次郎と寅次郎くん、マミちゃんという猫を飼っていた。可愛がっていたが、本人は介護が必要な体だったので思うように面倒をみられず、同居家族は猫に無関心だった。猫たちは、フードはもらっていたが、放ったらかしにされていた。その家に出入りしていたヘルパーがあまりにもひどい状態だと猫ボランティアに相談。保護されたという。

その後、大阪のネコリパブリックに空いているスペースがなかったので、岐阜のシェルターに移動してきたという。

マミちゃんは姉御肌。いつもマミちゃんが行くところに、後から2匹がついてきた。寝ている時も、マミちゃんの横で寝ていることが多かったという。

マミちゃんは一番早く里親さんが決まって、譲渡された。マミちゃんがいなくなると、寅次郎くんが寂しがり、一晩中鳴いていたそうだ。

兄弟を引き離す?一緒にもらう?

岐阜県に住む清水さんは、ずっと猫と暮らしたいと思っていたが、ペット不可の賃貸住宅だったので飼えずにいた。しかし、いまの夫と暮らし始めた時、持ち家に転居したので猫を飼えるようになった。猫を飼ったことがないので、まずは「猫カフェってどんなところだろう」と行ってみたという。

2018年3月、ネコリパブリックのカフェに行くと、銀次郎くんは暴れん坊だったので、1匹だけで大きなケージに入れられていた。

「可愛かったので外に出してもらったのですが、夫がひとめぼれしたんです。引き取るなら絶対にこの子がいいと。鳴き声も含め全体的に可愛いと言っていました。でも、私は寅次郎のほうがよかったんです」

留守番の時間が長いので、1匹でいられる大人しい子がいいということになり、銀次郎をもらうことにした。

「ネコリパブリックのスタッフに、寂しがり屋の子だとかわいそうだから銀次郎にすると言った時、マミちゃんがいなくなり、寅次郎が鳴いて寂しがったという話を聞いたんです」

銀次郎だけを引き取ったら寅次郎は寂しがるだろうか、仲良しだったのに引き離すのはどうだろうか、と清水さんは考えた。

「2匹一緒に迎えたい」と夫に相談すると、猫を飼ったことがないのに大丈夫かと言われた。しかし、そうした心配よりも、仲良く暮らしているのに引き離すほうがかわいそうで、人間の都合で引き離さない、2匹一緒に譲渡してもらうことにしたという。

銀次郎を先に引き取り、落ち着いた頃に寅次郎を迎える案も浮上したが、保護猫は一度悲しい思いをして里親を待っていると聞いていたので、2匹一緒になんとかしようという話になった。

落ち着いた大人猫との暮らし

2018年3月下旬にトライアルスタート。リビングでキャリーから出すと、2匹ともテーブルの下に潜ったまま出てこなかった。ネコリパのスタッフが近づこうとしても、部屋の中を逃げ回っていた。翌日は、近づいても逃げることなく、仕事から戻ると近寄ってきた。3日目からは一緒に寝るようになったという。

ただ、寅次郎くんは繊細なのか、一週間ハンスト。動物病院で点滴をしてもらったら、翌日から食べるようになった。

「2匹一緒に引き取ったので、早くなじめたのだと思います。2匹で一緒に遊べるから、退屈しないようです。もっと壁とか家具を傷つけられるのかと思ったのですが、そんなことはなく、話もよく聞いてくれます」

寅次郎くんは、遊んでほしいとおもちゃ箱からおもちゃを引っ張り出して、じっと待っている。銀次郎くんは落ち着いていて、べたべた甘えないが、人のそばにいるのが好きだった。半年くらいすると、横に来てスリスリしたり、おやつや水を要求したりするようになった。

落ち着いた大人猫は、飼いやすくて良かったと清水さんは言う。

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