4匹の保護猫を飼っている人の家の前に現れて道路を歩いている子猫がいた。とても人懐っこい猫だったが、さすがに5匹目を飼うのは迷ったという。猫は姉が引き取り、一人っ子のように溺愛して育てられた。
家の前を歩いていた野良の子猫
神奈川県に住む山本さんの妹は4匹の保護猫を飼っていた。よほど猫に縁があるのか、2013年10月、ふと窓の外を見ると子猫が1匹で歩いていた。息子と一緒に見に行くと、スリスリ足元に身を寄せてきたが、もう4匹も猫がいる。妹はどうしたものか考えた。
10月とはいうものの、とても寒くて、翌日は雨予報だった。息子に、「今日は寒いし、明日も雨だから保護してあげようよ」と懇願され、妹は、ひとまず保護することにした。どうしても里親が見つからなければ飼うと決めていたそうだ。
子猫は体重1.2kg、生後2カ月半から3カ月くらいだった。猫風邪をひいていて、息子が抱っこすると、くしゃみをして鼻水を飛ばしたという。どこかでごはんをもらっていたのかやせてはいなかった。しかし、ノミがついていたので野良猫のようだった。
子猫を保護した時、その様子を見ていた近所の人が欲しいと言ったが、その家の猫を検査してもらうと猫エイズだったので、譲渡しないことにしたそうだ。
背中を押した妹の言葉
山本さんは、猫を飼ってみたいと思っていたが、飼ったことはなかった。ただ、妹が保護猫を飼い始めた時に保護猫の存在を知り、猫を飼うなら保護猫にしようと思っていたという。
ただ、共働きで留守番も多く、夫が軽症の猫アレルギーだったので、猫を迎えるのを躊躇していた。山本さんは何度か妹の家に子猫を見に行っていたのだが、ある日、「飼ってみない?」と言われた。
2014年1月2日、子猫を引き取りに行き、レオくんと名付けた。
愛おしくて、守ってあげたくなる存在
レオくんは、妹が保護した時も人懐っこかったが、山本さんにも初対面の時から普通に触らせてくれた。一緒に寝るのはもちろん、入浴中も風呂のふたの上で待っている。
山本さんが袋に入ったパンをうっかり机の上に置いたままにして外出したら、ビニール袋を破ってパンを食べてしまったこともある。
「全部食べてしまったんです。野良だったせいか、人間の食べ物にすごい執着心があります。食卓に乗ってきて取ろうとするので、ケージに入れないと食事ができないほどでした」
いまはケージには入っていないが、バターやマヨネーズをなめようと必死になるという。
一人っ子気質なのか、ライくんという2匹目の猫を迎えると体調を崩した。以前はご主人のひざの上に乗っていたのに乗らなくなり、ゴロゴロ言うこともなくなった。
「すっかり心を閉ざしてしまったようでした。ライが来てから6日くらい食欲がなくなり、吐いて脱水症状になったので入院したくらいです」
2、3日入院すると、体調もだんだん戻ってきた。
帰宅すると玄関まで迎えに来てくれるレオくん。
「いままでは私を中心に地球が回っている感じだったけど、自分以外にこんなに愛おしい存在があったんだ。守ってあげないといけない子がいるんだと思いました」
日が増すにつれレオくんへの愛が深まってきているのを実感しているそうだ。