高速を走っていたら泣きそうに…「物流を支える皆様ありがとう」 福島の道路で見た電光掲示が話題

広畑 千春 広畑 千春

 新型コロナウイルスの感染拡大で例年になく静かなゴールデンウィーク。ですが、今も「おうち生活」を支えるため、また医療用物資を届けるため、多くの物流関係者が全国を走り回っています。そんな中、福島県内の道路の電光掲示板に表示された、「ありがとう」のメッセージに共感の輪が広がっています。

 彼氏さんが大型トラックの運転手というSaki(@Saki_0905_)さんは、あぶくま高原道路を走行中にその掲示を発見。「コロナで大変な中お仕事ほんとお疲れ様です」と写真とともにツイートしたところ、8600以上のいいねが寄せられています。

 福島県道路管理課によると、この掲示は今月22日から県が管理する道路(国道、自動車専用道を含む)の道路の電光掲示板(道路情報板)80カ所で行い、「物流を支える皆様ありがとう」というメッセージと「不要不急の外出は自粛ください」というメッセージが交互に表示されています。

 「都道府県をまたぐ移動の自粛を促すため国土交通省から『不要不急―』のメッセージ表示の要請があったのですが、それだけでは少しネガティブなイメージが強いように感じて…」と担当者。GWを前に、全国的に都道府県境をまたぐ移動への批判が高まる中、「とはいえ、みんなの生活や医療現場を支えるために県境を越え、走り回ってくれている人たちも大勢います。その方たちへの感謝も伝えたくて」と、初めての試みながら、幹部を含め5、6人で知恵を絞り、要請を受けたその日のうちに掲示を始めました。

 そこまでするには、理由もありました。「9年前の東日本大震災と原発事故後は『福島から来るな』といった差別もありました。そんな中、また物流網が寸断されても、多くの方々が物資を届けてくれ、支えて頂いた。だからこそ、ネガティブな言葉には注意しなければという危機感と、普段目に見えない方々に支えられて今があることをこんな機会だからこそ伝えたい―と思ったんです」と担当者。文面は「ありがとう」という言葉にこだわり、たった14文字、しかも上下7文字ずつという制限の中、何度も練り直したといいます。

 試みは福島県内の国道などにも広がっています。掲示板をツイートしたSakiさんによると、彼氏さんも普段積みに行かないような場所まで積みに行くことが多くなり、マスクや除菌スプレーなどの荷物も増えているといいます。「正直コロナにかからないか不安だ」と漏らしつつ「これは仕事だから頑張る」と昼夜問わず働き続けているといい「私もそんな彼氏の支えになれたらいいな、と思っています」とも。

 物流関係者への心ない言葉も問題になる中、この掲示を見て「正直、感動して泣きそうになりました」というSakiさん。「トラックドライバーの皆さん頑張って下さい。批判に負けないで下さい。こんなに多くの反応を頂けるとは思っていませんでしたが、多くのドライバーさんにこの電光掲示板を見て頂けたらいいなと思います」と話します。

 外出自粛でも生活に困らないのは誰かが今も働いてくれているおかげ。感謝の気持ちとともに、不要不急の外出はもちろん、物流を圧迫する不要不急の買い占めも控えたいものですね。

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