流通アナリストの渡辺広明氏が「ビジネスパーソンの視点」から発信する「最新流通論」。今回のテーマは「コンビニコスメ」。コンビニ化粧品の歩みや今後に向けて期待される進化の可能性をリポートする。
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コンビニに女性化粧品が置いてあるのは今や当たり前。平成の初めにはローソンが「PB」のメイクアップコスメ、「カルフォルニアカラーズ」の口紅とネイルを唯一展開するのみで、棚1本が女性化粧品の売場がある現在のコンビニとは隔世の感があります。
化粧品市場規模は2兆5000億円超で、昔から変わらずその45%前後がスキンケア市場となっており、コンビニにおいてスキンケア化粧品の展開が課題となっていました。2000年前後に通信販売大手のDHCがセブンイレブン、ファンケルがローソンに参入し、コンビニでのスキンケアの本格展開をスタートしました。
コンビニ側の悩みを解決すると共に、コンビニの店舗網を利用し、新規トライアルユーザーを取り込みたいメーカーとドラッグストアと違い、定価販売のためブランドロイヤリティの維持ができるという2つの思惑によってWIN-WINでお客に支持されました。
その後、最大手の資生堂が「化粧惑星」というコンビニ限定の化粧品ブランドを発売。コンビニで化粧品を買う文化を不動のものとしました。僕もブランド開発に関わり、100億円規模のブランドになりましたが、資生堂のブランド戦略で、現在の展開はありません。
コンビニはセルフ販売で、お客に商品の説明ができないため、パッケージに日本語で用途・効能を分かりやすく表示したり、時短ニーズの取り込みで化粧水・美容液・乳液が一品でできるオールインワンを先駆け発売するなど、化粧惑星は革新的な化粧品ブランドでした。
今春には、ローソンがナチュラルローソンを冠したストアブランド化粧品を発売。コンビニでの化粧品購買は成熟化しています。
今後は、超高齢化する状況に合わせて、コンビニではフェイスマスクなど、近所に出かける時に簡易的に使う化粧品の販売がますます増えそうです。女性はいくつになっても綺麗(きれい)でいたい。コンビニ化粧品の時代に合った進化に期待です。