東京にある出版社のロゴマークがマスクを着用していると話題です。もしや、新型コロナの影響なのでしょうか。
ロゴマークに注目が集まる出版社とは、作家の椎名誠さんらが創刊した看板雑誌「本の雑誌」で知られる「本の雑誌社」(東京都千代田区)です。同誌は今年で創刊45周年を迎えます。
マスクについて、営業担当の杉江由次さんに話を聞きました。
ーロゴマークがマスクをしていますが、新型コロナの…。
「じゃないですね(笑)」
ロゴマークは同社の社章で、「マスク少年」という立派な名前もありました。
-なぜマスク姿に?
「創刊当時、椎名(作家の椎名誠さん)の『会社だからマークがいるよな』のひと言で、表紙や挿絵担当のイラストレーター沢野ひとしさんがキャラクターを描き始めました。しかし、鼻がうまく描けずに困っていると、見かねた椎名が『マスクかけりゃいいじゃないか』。それでマスク姿になった、という逸話が語り継がれています」
杉江さんによると、マスク少年が初めて登場したのは、同誌1984年4月号(35号)の背表紙でした。以来36年ずっとマスク姿が続いています。
「社章はマスク姿ですが、うちの会社はマスクは作っていないので、マスクの注文をされてもお受けできないですよ」と杉江さんは茶目っ気たっぷりに笑います。
マスク不足の余波は、同社の営業活動にも影響しているのではないでしょうか。
「それがですね、7年前、中野区から神田神保町に引っ越しするとき、作業用にとマスクを箱で買っていたんです。その箱がつい最近、社内から発掘されまして(笑)。7年ぶりに見つかったマスクを皆で使っています」。
さすがマスクを社章デザインに掲げるだけあって、マスクのネタが尽きない本の雑誌社でした。