新型コロナ、アメリカでは銃の販売数が増加 「ショップに長蛇の列」「在庫なし」と現地メディア

谷口 輝世子 谷口 輝世子
新型コロナの感染拡大で米国では銃が売れている(rolffimages/stock.adobe.com)
新型コロナの感染拡大で米国では銃が売れている(rolffimages/stock.adobe.com)

新型コロナウイルス感染拡大の影響で米国では、銃の販売数が増えている。ロサンゼルス・タイムズ紙は、「ロサンゼルス市に近いカルバー・シティーの銃ショップに長蛇の列ができていると」と伝えると、ニューズウィーク電子版でも「カリフォルニア州サンガブリエル・バレーの銃ショップが3月に入ってから、アジア系の顧客が増えた。卸売り業者にも在庫がないことから、多くの人が購入していると推測される」と報じている。

銃だけではない。すでに日本では店頭からトイレットペーパーが消えていることや異常に高い値で転売されていることが問題になっているが、同じ現象が米国内でも起きている。数週間前のスーパーの様子は、手指の消毒液が売り切れているか、数が少なくなっているくらいで、そのほかは、普段通りに商品が並んでいた。

ところが、学校の休校措置を取る地域が増え、11日にワシントン州が250人以上の集会を禁じるなどしたころから、買い占めが始まった。そして13日にはトランプ大統領が国家非常事態宣言をした。筆者がよく利用するスーパーでもトイレットペーパーやパスタなどの日用品や食料品が消えたのだ。

国や生活環境にかかわらず、消毒液やトイレ紙がないと不安になり、多くの人が買い占めをする。文化や生活環境に関係なく、人間の心の本質的なしくみやプロセスには、同じ人間である以上、大きな違いはない、ということを目の当たりにした。

日本と違うのは「買い物リスト」の中に、銃が入っているということである。米国即時犯罪歴紹介システムは、銃の売り上げが2020年2月、前年同月比で16.5%増だったと伝えている。「ニューヨーク州北部のシラキュースでも銃がとても売れている」と、シラキュース・ドット・コムは報道した。ただし全ての銃の販売が、新型コロナウイルスと関係があるのではなく、大統領選後に銃規制の変更があることを考えて、買っている人もいるという見方もある。

新型コロナウイルスの拡大に伴い、大きな不安を感じている人が少なくない。そういった人を落ち着かせたいと、SNSでは「米国内で新型コロナウイルスで亡くなった人は、銃で亡くなった人よりもはるかに少ない」という書き込みがあるが、感染は拡大、それとともに一般の人が持っている銃の数も増えるという皮肉な状況に陥っているようだ。

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