外で生きる野良猫は、簡単には人に心を許しません。強い警戒心をまとい、一定の距離を保ち続ける…保護は決して容易ではないのです。
元保護猫の「ボブ」くん(9歳・男の子)も、かつてはそんな一匹でした。年単位で向き合い続けたのは、Instagramユーザーの元野良猫ボブさん(@noraneko_bob)。SNSを手がかりに少しずつ距離を縮め、ついに家族となるまでの軌跡とは――
顔の大きな猫との出会い…SNSで知った過去
今から4年ほど前、自宅の敷地内を悠然と横切る大きな猫がいました。近辺をパトロールしていたボブくんとの出会いです。
「顔が大きく体格もがっしりしていて、『ボブ・サップみたいな猫だなぁ』というのが第一印象でした。それが名前の由来です。私はこれまで犬を飼ったことはありましたが、猫は初めて。それでも次第にボブのことが気にかかるようになり、少しずつ交流が始まりました」
そんなある日、ボブくんが突然姿を見せなくなります。心配した飼い主さんは、SNSを使って彼が以前いたと思われるエリアの情報を探し始めました。
「SNSがきっかけで、ボブが生まれた場所に関わる人と知り合い、年齢や家族のことも知ることができました。ほかにもボブと関わりのあった方とつながり、いくつもの名前で呼ばれていたこともわかったんです。2年以上触れ合ううちに距離が縮まり、2024年11月26日、ケージを置くと自分から入ってくれて保護に至りました」
「シャー!」の洗礼を経て…少しずつ縮まった距離
迎え入れた初日はとても静かで、食事も排泄も問題なくこなす優等生ぶり。しかし、触れられるようになるまでには高い壁がありました。
「慣れてくれるまでどれくらいかかるのだろうと不安になることもありました。初めて『シャー』と威嚇されたときは、その迫力に驚いて思わず腰が引けてしまいました。でも、そうした不安も日を追うごとに少しずつ薄れていきました」
ボブくんは徐々に人の生活リズムを理解し、家猫としての暮らしに適応。やがて、警戒心の塊だった元野良猫に大きな変化が訪れます。
「人が動いても驚かなくなり、お腹を見せて眠るようになりました。その姿を見ると『ずいぶん慣れてくれたなぁ』と実感します。最近では頭突きをして甘えてくれることもあり、そのかわいさにメロメロです。私の生活も大きく変わり、自分は後回しの“猫ファースト”な毎日になりました」
ボブくんが手にした幸せな「今」
実はとても慎重な性格のボブくん。外で暮らしていた頃は、オス猫には厳しく接する一方、メス猫には優しく振る舞う“紳士”だったそうです。
「ボブの2カ月後に保護したキャサリンとはとても仲が良く、キャサリンを初めてケージから出すときには、ボブのほうから誘いに行ってくれました。たまにキャサリンがしつこくして怒ることもありますが、基本的にはいつもそばにいてあげる、優しい男の子です」
過酷な外の世界を生き抜いたボブくんは、今、温かな家の中で穏やかな時間を過ごしています。
「改めて、『ボブは今幸せかな? 私はあなたに出会えて本当に幸せだよ』と伝えたいです。これからの猫生、ながーく一緒にいようね、と思っています。ボブとの出会いは、私の人生にとってかけがえのない宝物です」