「同情するなら食べてくれ!」イトメンのチャンポンめん、知名度の低さにとうとう正気を失う 袋麺で謎のPR

黒川 裕生 黒川 裕生

兵庫県のド田舎にある中途半端な製麺会社(←と自分で言っている)イトメンが、ついに看板商品である「チャンポンめん」のパッケージで、少し様子のおかしいメッセージを発信し始めた。

「2番じゃダメですか?」

「あっさりして“飽きひん”ラーメンらしいよ。金沢のおばちゃんが言うてた。知らんけど。」

「同情するなら食べてくれ!」

「そっちはあまり売ってないて聞いたから、チャンポンめんも入れといた。母より」

1945(昭和20)年創業の兵庫が誇る麺メーカーは、いったい何を言っているのか。真意を訊ねると、担当者は「とにかく知名度!いい加減、そろそろ知名度を上げなければならないのです!」と熱に浮かされたように口走るのだった。

イトメンは、兵庫県西部のたつの市に本社を構える。前身の伊藤製粉製麺は、朝ドラ「まんぷく」のモデルとしてもおなじみ安藤百福のチキンラーメンに“遅れる”こと数カ月、1958(昭和33)年に「日本で2番目」の即席袋麺を発売。だが残念ながら、売り上げ、シェア、知名度の全てが“2番目”とはならず、現在は「ごく一部の地域を除いては、知る人が少ない残念な会社」(←これも自分で言っている)という屈辱的なポジションに落ち着いている。

イトメンの代名詞的な商品「チャンポンめん」は1963(昭和38)年に発売。まずお伝えしておかねばならないのは、先日放送された人気テレビ番組「マツコの知らない世界」のインスタント袋麺特集では一切言及されなかったものの、エビ、シイタケのかやくがスープとマッチした素朴な味わいは、絶妙、最高、唯一無二である。これが地元である兵庫西部のほか、何故か石川と富山で人気に。海外進出も果たし、南国の島タヒチでは驚異的なシェアを占めているそうだ。

イトメン営業部の伊藤しげりさんは言う。

「それやのに、全国的な知名度はいまだに低いんです。どんだけキャンペーンを打っても効果がない。同じ兵庫県内でも、神戸の方では本当に知られていません。今回のメッセージは、そんな人たちに向けて作りました」

「いつも買ってくださる方から『なんでこんなん書くの?』という声も届いておりますが、はっきり言って、ターゲットはあなたではない(笑)。知名度向上!売りたい!手に取ってほしいんです!」

伊藤さんによると、メッセージは全4種類。中でも目を引くのはやはり、正体不明の「金沢のおばちゃん」だろう。

「チャンポンめん、北陸でめっちゃ売れてるんですよ。兵庫県全体よりやや多いくらい。そんな北陸への感謝を込めて、金沢のおばちゃんにチャンポンめんのおいしさを代弁してもらいました」

なるほど。………なるほど??

ちなみに無邪気な瞳で「2番じゃダメですか?」と言っているのは、イトメンの2代目キャラクター「アカネちゃん」。たつの市出身の三木露風が作詞した童謡「赤とんぼ」のアキアカネにちなんでいるのだが、もちろん皆さん知りませんよね(笑)。

どう考えても応援したくなるイトメンのチャンポンめん。これを機に、一度くらいは食べてみた方がいいのではないですか。知らんけど。

■イトメン公式サイト https://www.itomen.com/

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