フランスでは、プロ向けのアナログ録音のためにテープなどを製造していたムーラン社が、2018年からカセットテープの製造販売を始めた。カセットテープを作って欲しいという要望があまりにも多かったためだ。1980年代にドイツでカセットテープを製造していた会社から同じ技法で製造する権利を買収して、新たにフランス国内で生産。1月19日付の米フォーブス電子版によると、現在、ヨーロッパで唯一、カセットテープを生産している会社だという。
新しい製品が登場すると、これまで使われていた製品はすぐに前時代の古びたものになる。フィルムを使用したカメラ、8ミリビデオ、カセットテープなどは、ほとんど見ることがなくなった。
スマートフォンで簡単に動画や写真が撮影でき、音楽を聞くことは、もはや当たり前になった。しかし、古い製品には根強いファンがいる。慣れ親しんだ人から、古い製品を発見した若い人たちまでさまざまだ。
ムーラン社はフランスのメディアの取材に「数字で温度を設定して暖房することは変わらないでしょうが、その暖房と暖炉は共存できます。暖炉はデジタル設定の空調に取って代わることはできませんが、デジタル設定の空調も暖炉を壊すことはできません」と答え、デジタルとアナログは共存すると説明した。
昨年、ポッドキャストでストーリーを配信しているフランスの会社と提携。ポッドキャストで配信しているものをカセットテープに録音。さらにこの会社と協力して携帯型カセットプレイヤーの販売も開始した。歩きながらカセットテープを再生できるあの商品だ。
テクノロジーを扱うユーチューブでも、懐古趣味が人気を集めている。米国でテクノロジーなどの動画を得意とするマーキス・ブラウンリーさんは、1980年代に大ブームとなったソニーのウォークマンを紹介。当時のソニーの開発者にインタビューするほか、分解して組み立てたり、ウォークマンをつけてフリスビーをしたり、遊んだりできるかなどさまざまな実験をした内容を動画で見せた。ウォークマンのスポーツタイプでフリスビーなどをしたが「腕に巻きつけるスマートフォンでも違和感があるけど、これをつけると重いですね」とレポートしていた。重さ、大きさ、シンプルな機能が、ウォークマンを知らない若い世代からの関心も集めたようだ。
このほか、別のグループがレトロな8ミリ録画機に似せたトイカメラの製造販売をキックスターターで開始。Fragment8という商品だ。撮影したものは、フィルムではなく、SDカードに保存される。撮影時にカタカタと音がしたり、秒間フレーム数が少ない撮影方法を洗濯すると、レトロな動画を楽しめるという。
懐古機器ブームはしばらく続きそうだ。