なぜB'zの聖地が神戸のホットドッグ店?稲葉浩志とデンマーク出身オーナーの深い縁

山本 智行 山本 智行

 1988年のデビュー以来、日本を代表するロックバンドとして活躍し続けているB'z。その“聖地”としてボーカル稲葉浩志さんの出身地、岡山県津山市がよく知られているが、その中のひとつがなぜか兵庫県神戸市須磨区にあるホットドッグ店だった。確か、ギタリストの松本孝弘さんは大阪府豊中市出身のはず。なぜ、須磨なのか?そこにはデンマーク出身のオーナーと稲葉家との深いつながりがあった。

 B'zは浮き沈みの激しい音楽業界で30年以上にも渡って第一線で活動して来た。1988年にシングル「だからその手を離して」とアルバム「B'z」の同時発売でデビューすると2年後の90年、5作目のシングル「太陽のKomachi Angel」が爆発的にヒット。初のオリコンチャート1位を獲得し、昭和、平成とその後は音楽シーンのトップを常に走り続けてきた。

 令和元年となった昨年も何と全国16カ所で36公演と、50代半ばから後半にさしかかってもいまだエネルギッシュ。同世代の中年サラリーマンにも勇気を与えてくれている。なかでもラグビーW杯を盛り上げた「兵、走る」(リポビタンDラグビー日本代表応援ソング)は記憶に新しいのではないだろうか。

 そのB'zと須磨を結びつけたのがJR須磨駅の北口でホットドッグ店「コペンハーゲン」を営むビヤーネ・リンボー・ハンセンさん(70)だ。お店はデンマークの国旗をイメージした赤と白を基調としており、結構目立つ。

 店長のハンセンさんは若い頃、デンマークに本社を置く世界最大の海運会社「マースクライン」で船上シェフなどを務めていたそう。その後、日本人女性との結婚を機に1981年来日。妻の実家近くの津山市に移住し、84年にデンマーク料理店を開いた。店名はもちろん「コペンハーゲン」だった。

 このとき、稲葉さんは横浜国大に通う大学生。接点はなかったが、お客さんの1人にイナバ化粧品店を営む母・邦子さんがいた。これが縁でスターとなった稲葉さんも帰省した際、たびたび訪れ、家族ぐるみの付き合いに発展。ときにギターの松本さんを伴うこともあった。

 「稲葉さんが好きだったのはハンバーガーとビーフストロガノフ。松本さんはカレーキャベツを気に入ってました」

 全国のB'zファンも通う店となったが、2004年に閉店。その後、デンマークの国民食とも言えるホットドッグ店を兵庫県高砂市のショッピングセンターに出店し、08年5月から現在の場所に店を構えた。

 デンマーク好きが高じて働き始めたという女性店員との息もピッタリ。店内のモニター画面にはB'zのライブシーンが流れ、壁には直筆サインや稲葉さんの卒業写真なども飾られ、ファンにはたまらないお宝が満載だ。なかでもハンセンさんの自慢の1枚が稲葉さんが赤ちゃんを抱っこしているものだった。

 「ほら、これ。20年前に撮ったもので、私の息子と稲葉さん」

 渡されたメッセージノートには全国各地から訪れたファンからの書き込みがビッシリとあった。店の名物はデンマーク産のソーセージを使ったホットドッグ。やはり178(イナバ)ドッグ、松っちゃんドッグが人気だ。

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