1・17と3・11、暖冬に二つの震災を思う―被災地への気持ちを胸に「想定外」に備えることの大切さ

 暖冬が続いているが、災害の多い日本列島では何が起きても不思議ではない。1995年1月17日の阪神・淡路大震災、そして2011年3月11日に発生した東日本大震災と、この時期は2つの大震災に挟まれた時期でもある。気象予報士の半井小絵が、被災地への思いを胸に「想定外」に対応することの大切さをつづった。

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 まるで春先のような天気が続いています。気象庁発表(23日)の向こう一カ月の天候予想でも、寒気の南下が弱いため日本海側の雪は少なく、東日本の太平洋側や西日本は低気圧や前線の影響でぐずつく傾向となりそうです。

 何でも適度がよいのですが、自然は思い通りにはなりません。日本列島は災害が多く、気象だけでなく地震、津波、火山噴火など多くのリスクをかかえています。

 1995年1月17日に起きた、阪神淡路大震災から25年。あの日、私は自分の身体が宙に浮いた瞬間に目覚め、その後の激しい横揺れ、ドドドと地面が唸る余震を経験しそれは今でもはっきりと覚えています。命があるだけで幸せだと思えましたが、普段何事もなく過ごしている中ではふとそんな想いも忘れてしまいそうな時があります。

 

 去年訪れた宮城県石巻市でも、時が経つにつれ復興の格差が広がり、すでに風化も始まっているためにどのように災害の記憶を伝承するかが課題となっていると伺いました。しかし、悲しい犠牲を増やさないために私たちは教訓を胸に刻んでおかなければなりません。

 去年の秋、高知県中土佐町で津波避難訓練を視察しました。中土佐町では南海トラフ地震の想定で、最大震度7、久礼などの市街地には地震発生から20分前後で最大22メートルの津波が襲う恐れがあります。

 朝9時、地震発生を知らせるサイレンが町内に響き、人々は避難を始めます。私が視察した久礼小学校は高台にあり、次々と町民の方々が駆け上がってきました。地震で家が倒壊して道路が通れない場合を想定して、内緒で道路の一部を封鎖しておき、とっさの対応力を高めるための訓練も行われていました。

 津波避難訓練の後、私は気象と防災の話をしました。講演を聞いた方から「高知県では、度重なる台風被害で対策がすすめられており気象災害は起こらないと過信していた。津波のことばかり気にしていたが気象についても対策をすべきだと改めて思った」という感想をいただきました。

 そうです。想定外はいつでも起こりうるのです。

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