金曜8時ドラマ「駐在刑事」第2弾開始、監修の小川泰平氏は「リアルさとワンチーム」を指摘

北村 泰介 北村 泰介

 「金曜8時」といえばプロレス中継だった昭和は遠くなりにけりだが、令和になった今も昭和の残り香が漂う「金曜8時のドラマ」といえば、テレビ東京系「駐在刑事」だ。24日から始まるシーズン2の放送を前に、元神奈川県警刑事としてシーズン1に続いて監修を担当した犯罪ジャーナリストの小川泰平氏、さらに2人のプロデューサーに聞いた。

 主演の寺島進が元警視庁捜査一課の敏腕刑事である「駐在さん」江波敦史を演じ、捜査一課・管理官を演じる北村有起哉をはじめ、笛木優子、佐藤寛太、鈴之助、市毛良枝らが前作に続き出演し、新たに田中美里も参加。「自然豊かな奥多摩のほっこりエピソード」と「捜査一課が追うシリアスな殺人事件」が共存するスリリングな展開が好評だ。

 小川氏は「小林義則監督がリアルさにこだわっている。捜査手法は本格的なものを引き継いでいる」と内容を評価。さらに、同氏は「寺島さんの安定の演技が光る。単発の2時間からシーズン1を経て、シーズン2へと、『座長』である寺島さんを中心にメンバー同士の気心も知れていて、アットホームな雰囲気がある」と、主演俳優の力量とキャスト全員のまとまりをヒットの要因とした。

 小川氏の評価を受け、テレビ東京の阿部真士氏、東通企画の元村次宏氏、両プロデューサーにうかがった。

 視聴者に支持される理由として、元村氏は「美しい自然があり、そこに居る人たちはみんなお節介で、喜怒哀楽が激しくて、他人のことで泣いた入り笑ったりしている。みんなで笑って、みんなで泣いて、みたいな。帰ればいつもの人たちがいつものように待っていてくれる、そんな場所。視聴者の方も『懐かしいな』とか『こんな故郷があったら良いな』とか思って見てくれているのかもしれません」と指摘し、シリーズ全体のテーマとして「再生」と「希望」を挙げた。

 小川氏が指摘した「まとまり」について、元村氏は「7年近くも一緒にドラマを作って来ている仲間なので、気心は知れているところはあります。阿吽(あうん)の呼吸のような、お互いの信頼感もあると思います」としつつ、「毎作つくるごとに改めて『駐在刑事』に挑戦し、少しづつ演技の出し引きを加えて、それぞれのキャラクターの関係性に深みを出していただいている」と強調した。

 また、阿部氏は「撮影前に必ず行う『飲み会』はコミュニケーションの場として機能しています。今回はどんな風にキャラクターを考えているのか、どんな演出にしたいのか、シリーズを通してのテーマはこんなことを考えているんだと、色々な部署の人間がフランクに話し合ったりします」と明かした。

 小川氏が絶賛する「座長」について、元村氏は「寺島さんはビックリするくらい真摯に主人公の江波という役に向き合っていらっしゃいます。もう、7年もやって来たんで、いつもの感じで…なんてことは一切ありません。どうしたらもっと面白い『駐在刑事』になるのか?そこといつも真剣勝負しているように感じます」と語る。

 ドラマが持つ「昭和」の香りについて、寺島は会見で「最近、学校でもあんまり叱られるとか、母親からもしつけとか、時代的に薄くなってきてるんですけども、昭和のDNA をちょっと引き継ぎながら、基本である挨拶というか、そういうことを大事にしてるからなのかな、なんて思います」と語った。

 気が早いが、シーズン3は?阿部氏は「もちろんやりたいです」と前向きの一方、「手放しでシリーズを重ねることはできません。個人的に分析したヒットの要因としては、ミステリー・サスペンスドラマなのに明るく、景色がきれいで、それぞれの持つ『正義』で対立することはあるにせよ、最後にはきっちり『人に寄り添う』ドラマであることだと思っています。つまり、シーズン3を制作するにしても、どんな事情を持って罪を犯してしまった人に『また(奥多摩の)水根に戻ってきてください』と声を掛けるのか、そこをしっかり考えたいと思っています」と、この先を描いた。

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