女性専用車両…女同士の争いに朝からピリピリ! そこに現れた「女神」のおかげで救われた話

島田 志麻 島田 志麻

世界有数の痴漢大国である日本。痴漢被害におびえる女性を助けてくれるのが女性専用車両です。一方で、「女性専用車両に乗りたくない」という女性もいます。その理由は、香水などの強い匂いが苦手という人がいれば、他人の目が気になるという人もいたり。そして、女同士の争いが怖いからという理由の人もいます。

実際、筆者も朝から女性専用車両で女同士の争いに遭遇したことがあります。そのときのエピソードをご紹介します。

事件が起きたのは、朝9時前後の車内。ちょうど通勤ラッシュの時間帯で乗車率は100%ちかくになっていました。私は始発駅から乗っていたため、運よく席を確保することができ、電車の心地よい揺れも相まって半分夢の中でした。

私が乗車してから20分近くが経過した頃でしょうか。何やら女性たちが言い争う声で目を覚まします。

女性A「ちょっと!どういうつもりなんですか?」

女性B「それはこっちのセリフでしょう!本当に信じられないわ!」

一部始終を見ていたわけではないのですが、女性たちの話を聞いているとどうやら席の取り合いでトラブルになっているようです。

女性A「先に並んでいたのは、私でしょう?あんなに人を押しのけてでも座りたいものなのかしら!?なんて人なの!」

女性B「先に押してきたのはあなたのほうでしょう。文句を言いたいのはこっちのほうよ。どんな神経しているのかしら?」

女性Bのほうは私の隣に座っており、その前に立っているAと言い争いをしています。空いた私の隣席をめぐってのトラブルです。Aのほうが先に並んでいたようですが、近くにいたBがAを押して席に座ったということです。ただ、Bの言い分によると先に押してきたのはAということ。「ねぇ、あなたも見ていましたよね?」と周りも巻き込む事態になり、収拾がつかなくなっています。

その後も二人の熱は冷める気配がありません。

女性A「だいたい、あなたがさっきから持ってる傘の先が足に当たってるのよ!ケガでもしたらどうしてくれるの?」

女性B「それをいうなら、さっきからあなた、私の足踏んでますけど?めちゃめちゃ親指が痛いんですけど!治療費払ってくれますか?」

周りの人たちも彼女たちの熱に圧倒され、どうすればいいのか分からず困っています。これから仕事に向かう人たちであふれかえった車内は異様な空気感につつまれ、みんなが見て見ぬふりをする状態。そんな暗雲が立ち込めた車内に女神が降臨します。

女神「お姉さん、良ければこの席に座りますか?」

みんなが一斉にそちらに目をやります。それは70代後半くらいの女性。ロマンスグレーが素敵で、上品な印象の方でした。女性はこう続けます。

女神「みなさん、朝からお仕事おつかれさまですね。疲れていたら電車のなかでもゆっくり座りたいものね。どうぞ、私の席にお座りください。私はこれからお友だちのところに行くだけなので、みなさんほど疲れていませんのでね。さあどうぞ」

本来ならこちらが席を譲るほどのご年齢の方なので、さすがにヒートアップしていた女性たちも戸惑っています。

女性A「あ、いえ…結構です…」

女神「あらそうなの?本当に私は大丈夫ですのよ。ほら、お二人ともせっかくのお綺麗なお顔が台無しよ。さあ、こちらに座ってゆっくりなさってくださいよ」

女性は自分の席に座るよう促しますが、さすがにバツが悪くなったのか、Aは譲ってもらった席には座らず、次の駅でそそくさと降りていきました。

その後、女性は何事もなかったかのように席に座りなおし、ニコニコとやさしい顔で「本当にみなさん、おつかれさまですね」とおっしゃっていました。

女同士の争いは怖いなと思った出来事でしたが、そこにあらわれた救世主のおかげで無事、目的地までたどり着くことができた朝でした。

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