ハロウィンの渋谷センター街に「働くゾンビ」が登場!SNSで話題、バーガーキングの意図は?

北村 泰介 北村 泰介

 ゾンビが渋谷にやって来た!令和元年のハロウィンで盛り上がる東京・渋谷センター街のハンバーガーショップにゾンビが出没していると、SNSで話題になっている。現場に急行すると、確かにゾンビがいた。しかも、店の入口で手招きまでしているではないか。スマホを手にした女子高生や外国人観光客をはじめ、老若男女が群がって撮影している。一体、何が起きているのか?というわけで、実態を探った。

 今月20日に〝緊急閉店〟を発表した「バーガーキング」渋谷センター街店が、23日から「渋谷ゴーストストア」としてオープン。その名の通り、おばけ屋敷的なデザインが施され、「CAUTION」などと書かれた黄と赤のテープが張り巡らされた店内をゾンビが徘徊している。

 今回の企画について、運営会社「ビーケージャパンホールディングス」の担当者は「店舗の前を通る方が振り返るだけのインパクトがあり、SNSでの反響も実感しています」と手ごたえを示し、「店内に入らず、外から写真を撮る人が多いです。女子高生の方に『怖くて入れないよ~』と冗談ぽく言われたり」と明かした。

 ゾンビの勤務体系も聞いた。担当者は「ゾンビは3体(「人」ではなく「体」でカウント)おりまして、25日と26日、31日の3日間は確実にいます」と説明。渋谷区ではハロウィン本番の31日とその前週末25~27日が条例で路上飲酒禁止となるが、他の街で〝ガソリン補給〟して夜中に来襲する輩(やから)にゾンビが絡まれたりしないのかと勝手に心配したのだが、スタッフは「ゾンビが店内にいるのは12時から20時までです」。早めに〝あがり〟なので、その心配は杞憂に終わりそうだ。

 500円で限定発売する「ゴーストワッパー」のセットを食べた。バンズの色を従来の茶色から「ゴースト(幽霊)」仕様の白とし、直火焼きのビーフパテ(ワッパー)を挟んだ一品。「しっとりモチモチ…」とメモしていると、近くでゾンビが緩慢に動いている。カメラを向けると、一転、素早い反応でキリっとカメラ目線でポーズを取り、さらには2体がかりで襲い掛かって来たと思いきや、寸止めで、何事もなく立ち去って行った。

 来店客に感想を聞いた。奈良県在住の30代女性は「店の外観からして楽しそうだと思って入りました。ゾンビも楽しくていい」と絶賛。20歳の男子大学生は「ゴーストワッパーは普通においしいですが、入口で客引きするゾンビはやめた方がいい。おばけ屋敷みたいで怖い」と、忖度のない意見。ツイッターには動画や画像と共に「怖すぎて入れない」という投稿も。そこは好みが分かれるところである。

 最後に触れなくてはならないのが安全対策。昨年10月28日未明、暴徒化した若者らが走行中の軽トラックを横転させるなどして4人が逮捕された「渋谷ハロウィン暴動事件」が記憶に新しいが、その現場となった渋谷センター街に同店はある。

 担当者は「安全で楽しく、安心してもらえるハロウィン」を掲げる。「昨年まで、お店に入りきれないお客様がいたので、混雑を避けることを目的に、1階は客席を外して並ばれる方が多く入れるようにしました」と店外に来客があふれることを防止。実は、そのための「緊急閉店」と「改装」だったようだ。さらに「現時点で従来通り24時間営業の予定ですが、安全第一を考えて変更する場合もあります」と対策を練る。また、ビールの発売をやめるなどメニューを限定して対応する。

 今年も渋谷のハロウィン本番では休業や早じまいをする店が予想される。警戒が強まる一方で、同店のように、秋の風物詩となったハロウィンを可能な範囲で前向きに受け入れようという試みもある。そして念のため、ゾンビに会いたければ昼間に限る。

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