楽しい旅行を終え、帰りの新幹線では心地よい疲労感に身を任せ、ゆっくりと眠りにつきたい。そんなささやかな希望が叶えられないばかりか、同じ車両に乗り合わせたママ友集団が大騒ぎしたせいで、体調の悪かった生後6カ月の赤ちゃんが大泣き、楽しかった旅行の思い出も吹き飛びそうになった。
広島市在住の40代主婦 ・ハルさん(@Free110756)は夫、6歳と生後6カ月の子どもの家族4人で大阪のユニバーサル・スタジオ・ジャパンに遊びに行った。帰りの新幹線は、のんびり帰ろうと新大阪〜広島間「こだま」を予約していた。ところが、ママ友集団によるとんだ車内宴会に巻き込まれてしまった。ここで救いの手を差し伸べたのが1人の車掌だった。別の車両を案内したことに加えて、手書きメモをそっと渡したのだった。
この出来事をハルさんはツイッターに投稿。
「新大阪駅こだま→指定席だし格安なのでこの新幹線に初乗り6歳と6ヶ月ベビーを連れての乗車。乗った途端ママ友集団の宴会が始まった。それを察した車掌さんは別の車両へ案内してくれました。が、悪いのはあなたではないのです。迷惑行為をしている無知な母親達。私は車掌さんからのメモを見て思わず号泣」
投稿にあわせて、車掌が手渡してくれたメモの写真も紹介。「今日はお子様にとってご不快な状況となってしまい、申し訳ございません。今後、もっとご配慮できるよう努めて参ります。ご移動頂きましてありがとうございました。」と書かれていた。
これには10万以上の「いいね」がついた。
「ママ友集団ってどこにでもいますよねー下品だし声デカイし しかも類は友を呼ぶ 皆似てる!」
「車掌さんむっちゃ良い人やん」
「字も上手ですし、メモだけで人柄が見えてきます。是非、会社に感謝の意を伝えてあげてください」
車掌の優しさに触れ「思わず号泣」したというハルさんに話を聞いた。
ーーママ友集団はそんなにひどかったのですか
「乗ったと同時にそのママ友集団は子どもと一緒にベビーカーを引く私を追い抜き、我先に自分たちの席へ行き椅子を回転させ、不安だった私の予感は当たりました。大きな声で自慢話、夫の話、笑い声、それはそれは周りのお客さんも不快だったと思いますけど、見て見ぬ振り、自分たちの子ども達は4、5歳(?)でほったらかしなので行ったり来たりしてるので転倒した様子ですが『もー危ないじゃないのー』って言うだけ、子どもの事はそっちのけで喋り倒してました」
ーーハルさんの生後6カ月の赤ちゃんはどうでしたか
「大きな声で眠れなくて泣く始末。夫と交互であやしてミルクを飲んでようやく寝たと安堵したら、その子どものキャーキャー言う声で目を覚まし火がついたように泣き始め、私は周りの迷惑になってしまう。って小さくなりながらお願い泣き止んでーって心の中でお願いしてました。私も泣きたい気持ちでいっぱいでした。6歳の息子は『ママ赤ちゃんが泣いてるから可哀想だよー』と言ってました」
ーーそんな気持ちのとき、車掌さんが助けてくれたのですね
「母親達も子育てしているはずなのに、どうして赤ちゃんの泣き声に気づかないのか?周りの乗客に迷惑だと思わないのか?ほんとに私には考えられませんでした。それでも赤ちゃんが落ち着いてきたと同時に、今度は大音量で携帯のムービーを見だしたのです!さすがに、注意しようと思ったら、子供ではなく母親が、『見て見て〜昨日のユニバーサルで撮ったムービーよー』って!子供じゃなく親か?びっくりしたと同時に諦めとイライラと私はもう言いに行きました!静かにしてもらえますか?と、そしたら、その母親は子どもに赤ちゃんが寝てるから静かにしないとねーって静かにするのは子供ではなくあんたでしょ!?って思ったと同時にその車掌さんが来てくれたのです」
車掌はハルさんにこう言ったそう。「私も気にしていまして席を確保できないか探していました。ようやく確保できたので6号車から8号車まで移動できますか?6歳の子供さんも少し遊べるスペースもあります。それに人も少なく静かに過ごせると思います」。そして車掌が6歳の息子さんに渡した新幹線のステッカー。その裏には「あのメモ」が書いてあった。これを見たハルさんは「力が入っていた体から何かがスーッと抜けていく感じがわかりました。車掌さんのその優しさに、私はその場で我慢していたイライラや何もかもが言い表せない何かが、涙として溢れ出したのです」
その後も広島に到着するまで「お子様落ち着かれましたか?」と声を掛けてくれたという。JRにはこのお礼をぜひ伝えたいとハルさん。「いま台風でもっと大変な状況なので落ち着いたころ連絡したいと思います」と言う。
「対応してくれた神のような車掌さんにもう一度お礼を言いたいです。もう一度お会いできるのなら、彼の乗る新幹線に乗りたいです」