里親さんの姿を見つけると、ゴロニャーンと甘えてくる子猫のサンちゃん。里親さんが「どうしたのぉ?」と声をかければさらにベッタリ体をすり寄せます。抱っこしてあげれば、里親さんの顔をペロペロ。
夜は里親さんの横で一緒。安心した表情を浮かべてグッスリ眠ります。里親さんのそばにいる安心感からか、朝自分で起き出すことはなく、里親さんが起こしてやっと動き出すというほどの甘えん坊です。
用水路に段ボールごと捨てられていた子猫3きょうだい
絵に描いたような甘えん坊ですが、実は幸せをつかむ前は生まれてまもなくして生死にかかわるほどの過酷な経験をしていました。
サンちゃんを含む子猫3きょうだいは、意図的に段ボールに入れられ、高知県内の用水路に放り投げられていました。段ボールは水気を吸ってふやけ、「誰か助けて」「ママはどこ」とばかりにミャーミャーとか細い声で鳴いていました。
水が流れる場所に、段ボールを放り込めば、後にどうなるかは誰でもわかるはずです。どうしてこんな酷いことをしたのでしょうか。この子猫3きょうだいの前を、たまたま農作業中の男性が通りがかりました。男性は「これはいけない」とすぐに救い出してくれ、家に連れて帰りエサをあげてお風呂に入れ、きれいにしてあげました。
警戒心拭えぬサンちゃんが、ある人の前で突然見せたゴロニャーン
子猫3きょうだいの命のバトンは後に愛護団体・アニマルサポート高知家に渡りました。同団体では3きょうだいのお世話をしながら、それぞれにずっとのお家が見つかるよう告知したり、高知県内にある常設の譲渡会場に連れていき里親さんとの出会いを待ち続けました。
当初のサンちゃんはいつも警戒気味。人間の姿を前にすると隅っこのほうに隠れたり、寝たふりをしたりして、できるだけ自分の存在を消している様子でした。生まれてまもなくして、人間にとんでもない仕打ちを受けたわけですから、警戒心を抱くのも無理はありません。
そんなサンちゃんに異変が起こります。たまたま譲渡会場に現れたある人の前ではグングン近寄り、甘えるそぶりを見せるのです。そう、それこそが前述のサンちゃんが大好きな里親さんでした。
里親さんも辛い過去を経験していた
この里親さんは長く飼っていた猫を亡くし、ペットロス状態に陥っていました。悲しみから立ち直れずにいる姿を心配した娘さんは、里親さんを譲渡会場へと連れ出しました。
複数いる猫たちの中に、かつて里親さんが飼っていた猫にそっくりな子がおり、当初里親さんはその猫の姿に目を奪われ、トライアルを決意します。申し込み直前でグングン近寄ってきたのがサンちゃんで、あまりの猛アピールを前にサンちゃんのトライアルに変更したのでした。
家を明るく照らす太陽のような存在に
トライアルが始まってからもサンちゃんはすぐにお家に馴染み、まるでずっとそこで暮らしていたかのようにリラックス。甘えん坊ぶりはこの頃からで、里親さんには特にベタベタに甘えてきます。
あの譲渡会場で里親さんはかつて飼っていた猫によく似た子に心を奪われましたが、もしかしたらサンちゃんは、かつて一緒にいたお母さん猫の雰囲気を、里親さんに感じたのかもしれません。
もちろんトライアル完了後に、正式譲渡となったわけですが、以降は里親さんだけでなく、娘さん・息子さんの家族にもすっかり懐きました。そして、この家を明るく照らす太陽(サン)のような存在となり、里親さん家族を癒しながら、幸せな日々を送っているそうです。
アニマルサポート高知家
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