「それが、メスだと思います」
―ええっ!
「うちには4頭(オス2頭、メス2頭)のアゴヒゲアザラシがいるんですが、アゴヒゲはメスの方が体が大きいんです。そういえば、オスよりメスの方が、この格好をよくしていますね」
―ご年齢のほどは…
「それが、分からないんです。うちのアザラシは北海道沿岸で漁師の網に引っかかって衰弱していたところを保護された子ばかりで、メスのノンノンは1995年、ウパウパは2000年に保護され、約20年うちで暮らしています。アザラシの寿命は、詳しくは分かっていませんが25~30年と推定されているので…」
―熟女でしたか!!!
「ええ。ノンノンは大らかで、熟睡して飼育員が近づいても起きず、死んでるんじゃないかと慌てさせたこともあるほど物事をあまり気にしないタイプです。一方のウパウパはアゴヒゲには珍しく気性が荒くて…。あ、でも後頭部につむじみたいなクセ毛があって、それがチャームポイントです」
そういわれてみれば、この柔らかな体の曲線、薄く閉じた目、なで肩は日本画の美人図のよう(?)。人間が近づいても起きないとか、野生動物として大丈夫かとも思いますが、そんな人間の驚きや喧噪はつゆ知らず、同水族館によると、熟女お二人(頭)は今日もゆったりとプールに浸かっておられ、1日に数回はこんな姿も見られるとのことです。
◇ ◇
北海道の冬は早く、雪の多いアザラシプール周辺は11月24日を最後に来年3月中旬まで閉鎖され、その間は姿が見られないそうです。今は、トドが酒…ならぬ秋鮭を丸のみするショーが見られるそうで(イベント名は「鮭は飲み物。」…)、ぜひ北海道の短い秋と個性豊かな動物たちに会いに行ってみませんか?