消費税率が上がったこともあり、余計な支出を減らしたいと思っている方も多いことだろう。スーパーでの無駄買いを防ぐには、予算分だけを財布に入れることと空腹時の買い物を避けることが大切だ。よくある話のように感じられるかもしれないが、とあるスーパーの惣菜部門でアルバイトをしていた経験では、お客様のみなさんをはじめ、それぞれ工夫をこらされているようだ。
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仮称「港が見えるスーパー」で筆者が働いていたとき、他の部門から惣菜部門へ配置換えでやってきた女性のパートタイマーがいた。彼女曰く「夕方、仕事が終わってここで買い物して帰るけど、お腹が空いているせいか、いつも食べるものばかり多めに買ってしまうの」
彼女はフルタイム、すなわち朝から夕方までの8時間勤務なので、仕事が終わって退社するころにはけっこうな空腹になっているという。
誰にでも一度くらい、身に覚えがあるはず。お腹が空いている状態で買い物をしていると、気が付けば、食べるものばかりドッサリ買っていた経験。
アメリカのコーネル大学フード・アンド・ブランド研究所が行った調査によると、空腹時に買い物をすると高カロリーな食べ物を選んでしまう傾向があるという。
なぜそうなるのか、答えは簡単。空腹ということは体がエネルギーを欲している状態なので、何を見ても美味しそうに見える。だからつい「あれも、これも」と欲しくなってしまうのだ。空腹時の買い物は、まさにダイエットの大敵。そればかりか健康にも良くないし、無駄買いをしてしまうから家計にも優しくない。
余分な買い物をしない節約術といえば、予算を決めておくのも有効だ。
家族構成によって異なるが、仮に1カ月の食費を3万円とする。単純計算で、1日あたり1000円。だが、毎日1000円ずつの買い物をしていたのでは効率が悪いから、できるだけ1週間分あるいは半週ごとにまとめ買いをする。
たいていのスーパーでは、週の半ばと週末の2回広告が入る。水曜から金曜までの広告なら3日間で3000円、土曜から火曜までの広告なら4日間で4000円の予算ということだ。この予算を頭において、3日分または4日分の食材や調味料を調達する。さらに冷蔵庫にある残り物をプラスして効率よく使っていけば、思いのほかバリエーションに富んだ献立にならないだろうか。
そして、いざ買い物に出かけるときには、財布の中に予算分のお金だけを入れること。あるとき品出しをしていると、常連の老夫婦が来店されたので挨拶をしたら、御主人からこんなことを言われた。
「私ら年金暮らしやさかい、無駄遣いでけへんから、使う分しか財布に入れてへんねん」
それがけっこうな節約術になっているということだった。「無駄買いしたくてもできない状態」に自分を追い込んで、目的の買い物だけに専念する、いうなれば「追い込み型」の節約法だ。
もうひとつ、追い込み型として、独り暮らしをしている人向けの方法がある。買い物の途中で献立を考えるのが面倒くさくなって「今日はもう、外食でいいか」と思ったことはないだろうか。そんな恐れがあるときに、筆者が実際にやっている節約法がある。それは、夕飯の買い物に出かける前に炊飯器のスイッチを入れておくこと。買い物をしている今、まさに家でご飯が炊けていると思ったら、外食をするわけにいかなくなる。