平成の“ホラー漫画界の女王”が令和元年になぜ? 児童虐待テーマの新作漫画を発表

石井 隼人 石井 隼人

ところがある事情によって、配信時期が大幅に遅れた。「描こうと思い、打ち合わせをして構想から描き始めた頃、いきなりニュースで児童虐待が大きく取り上げられるようになりました。不思議だったのは、読んだ本と同じような事件が起きている。つまりは私の描いている漫画そのままのような事が起きているということ。それだけに、虐待のニュースが少し落ち着くのを待って配信もどんどん遅れました」。創作を凌駕するかのような暗い現実に、犬木自身も驚きを隠せない。

今回の連載をきっかけに、再び漫画家生活に入った。ファンからの熱烈な支持を肌で感じたのも大きな理由の一つだ。創作活動に特化したクラウドファンディング「FUNDIY」で新作ホラー制作プロジェクトを行ったところ、犬木の新作を心待ちにするファンから300万円以上の資金が集まった。

「ようやく昔の様にホラー漫画を描きたいと思い始めています。私らしい犬木ホラー、少し不思議なホラー。ホラーに限らずいたずらに人を傷つけるような事はいけないけれど、物語の持つ力や魅力の妨げになるような規制には首をかしげざるをえません。ホラーは奥がとても深く、人間の裏や奥底を描くことができます。どうしてみんなジェットコースターに乗りたがる?それと同じ。ホラーは読みたくなるものなんです」。犬木は令和元年に“ホラー漫画界の女王”復活を宣言する。

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