細身のサウスポーとしてプロ野球の阪神、西武、広島、オリックスと4球団に所属した前田耕司さん(54)は現在、スポーツマネジメント会社「プロアスリート」(大阪市)の代表を務める。広島・緒方孝市監督(50)や元阪神の野球解説者・関本賢太郎さん(41)らのマネジメントを手掛ける一方で鍼灸部門にも本腰を入れている。「縁は運、運は縁」を企業理念に二刀流で奮闘中だ。
スリムな体は現役時代のまま。明朗快活で滑舌もいい。
「いま、力を入れているのはアスリートの施術です。少しでも長く競技を続けたいのにケガでできない。そんな人をなくしたい」
昨年7月、神戸・元町にフィットネススタジオも備えた「プロアスリート鍼灸整骨院」を立ち上げた。売りは西洋医学と東洋医学の融合。そのため、スタッフにはこだわった。院長は鍼灸師、柔道整復師で野球に精通。一方の副院長は理学療法士でサッカーに明るい。異なる分野のプロ2人が痛みの原因を分析し、最新の治療を施す。
「肘をやっちゃったとか、足首を捻挫したなどスポーツで悩んでいる人の“駆け込み寺”を目指しています」
出身は広島市。小、中学校の先輩でもある元広島監督の山本浩二さん(72)に憧れ、野球を始めた。高校は「当時の三原新二郎監督に誘われて」福井工大福井へ。3年夏にエースとして甲子園に出場し、1982年のドラフト会議で阪神から2位指名された。
プロ2年目の9月に初登板初先発。憧れの山本浩二さんから初三振を奪った。86年オフにトレードで西武へ。93年には地元の広島へ移り、95年にオリックスにテスト入団した。通算5勝2敗。その年のオフに現役を退き、打撃投手に転身した。
マネジメントのノウハウは裏方生活で培った。打撃投手のかたわらイチローら選手の“夜のマネジャー”として遠征先での食事場所を手配。「かゆいところに手が届くというか、2、3歩先を予測して行動するようになった。もともとそんな才能があったのかな」