甘いマスクと長打力で2003年に阪神18年ぶりの優勝に貢献したジョージ・アリアス氏(46)はいま故郷の米アリゾナ州ツーソン市で大リーグ入りを夢見る少年たちを指導している。
帰国後すぐに「子どもたちがワンランクアップできれば…それぞれの最大限を発揮できるように指導したいと思ってね」と、自らセンターフィールド・ベースボール&ソフトボール・アカデミーを開校した。そこでは野球の技術を教えるだけなく、人間形成にも力を入れているという。
「野球をする以上に苦しい時期は必ずある。でも、悪い結果で落胆するのではなく、過程を信じて常に前進することが大事だ」
“卒業生”のなかには大学野球に進む生徒もいれば、プロ入りする生徒も出てきた。その一人が息子のジョージ・アリアス・ジュニア(19)だ。
昨年6月の全米ドラフトで、ツーソン高校から34巡目でサンディエゴ・パドレスに指名された。しかも父と違って「投手」としてプロ人生をスタートさせる。
「将来、日本でも野球がしたいと言っているよ」と息子の“日本びいき”にアリアス氏もうれしそうに笑った。実はアリアス氏自身も将来、指導者として復帰したい気持ちを持っている。
「日本でプレーできたことは本当に財産に思っているし、いつかは戻りたいなぁ。阪神に思い入れがいまだにある。日本の全てが大好きだ。人々、文化、野球、そしてファン」
阪神時代、助っ人という立場からさみしさを感じることもあった。「孤独感を覚える時が多かった。オマリーコーチがいなかったら活躍できなかったかもしれない」と述懐した。
矢野監督に「野球をよく理解している。元捕手として投手の心理も把握しているし賢い監督になると思うよ」とエールを送ったアリアス氏だが、いつか親子そろって日本球界入りする日がくるかもしれない。(デイリースポーツ特約記者・トレバー・レイチュラ)