土方歳三役で一世を風靡した栗塚旭、82歳のいまも現役!元気の秘訣は…

あの人~ネクストステージ

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マイペースで活動を続ける栗塚旭
マイペースで活動を続ける栗塚旭

 今年は新選組の副組長土方歳三の没後150年。いまもなお新選組を題材にした作品が生み出されているが、映像の世界で土方のイメージを決定づけたのは、俳優・栗塚旭(82)だろう。「新選組血風録」(1965年)、「燃えよ剣」(70年)の土方歳三役で一世を風靡。眼光鋭く、ニヒルな栗塚は、まさに土方そのものだった。その後、「暴れん坊将軍」のミステリアスな山田朝右衛門役で20年近く出演した。

 だが実際の栗塚は、ダンディではあるが朗らかで、笑い上戸。「くよくよしていても仕方ないじゃないですが」といたってポジティブ。土方=栗塚のイメージにも「土方しかできない役者だと、レッテルを貼られたこともあります。だけどレッテルは代表作ともいえる。役者として代表作があるのは、むしろありがたいですよ」と笑う。

 現在も年に1、2本は映画に出演。さらに土方関連のイベントにもゲストで呼ばれる。82歳の現在も健康で、はつらつとしているが、その秘訣は「毎日映画館に通い、映画を見ること」だという。邦画や洋画、大作やミニシアター系を問わず、とにかく見る。京都在住だが、大阪まで出向いて見ることもある。「テレビはもちろんですが、自分は映画にも育ててもらった。その恩返しじゃないですが、映画館に足を運びたいんです」という。

 また「CDが出せれば」と新たな目標も口にする。栗塚よりも年上の知人が作ってくれた曲で「誰にでも口ずさみやすい曲なんですよ。いまの新曲って、若い人向けの曲ばかり。我々世代の曲がない。実際にどうなるかはわからないけど、80歳を過ぎてCDを出すというのは夢があるじゃないですか」と目を輝かせる。

京都は各映画会社が撮影所を構え、かつては“日本のハリウッド”と呼ばれ、次々と時代劇を生み出した街。その当時、多くの俳優が住み、戦前からの大スター大河内伝次郎が京都の西に位置する嵐山に居を構え、いまも大河内山荘として観光名所にもなっている。栗塚も土方でスターダムにのし上がると、京都の東にある哲学の道に300坪の家を構えた。

「当時は(撮影所に近い)京都の西に多くのスターが住んでいた。僕は東に建てて、いずれ西の大河内、東の栗塚と名所になればと思っていたんですよ」と茶目っ気たっぷりに振り返る。だが京都に住む俳優も段々と減り、栗塚がいまも京都に住み続ける、最後のスターの一人となってしまった。

その京都の哲学の道の邸宅も、昨年の大型台風で甚大な被害を受け、転居を余儀なくされた。「今度はビルなんですが、仕切りのない作りなんで、1、2階は『栗塚旭記念館』に、鏡張りの3階は稽古場にしようかと」とここでも前向きな姿勢を見せる。気になる記念館は、「できれば来年オープンを」と計画は着々と進行している。

(デイリースポーツ・石川 美佳)

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