覚せい剤取締法違反容疑で家宅捜索に来た警察官を乗用車で引きずって逃走し、5日後の14日に公務執行妨害と傷害の疑いで逮捕された熊本市の職業不詳・藤木寿人容疑者(43)について、元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏は15日、当サイトの取材に対し、同容疑者をかくまっていた第三者の存在を推測。さらに「逃げ得」を狙った同容疑者の「稚拙な供述」にも言及した。
藤木容疑者は9日、熊本市内の自宅を訪ねてきた警察官6人を振り払い、駐車場に止めていた車で逃走。その際、制止しようとした警察官3人を車で数メートル引きずってけがをさせ、公務執行妨害と傷害容疑で全国指名手配された。同容疑者は14日、福岡県糸島市内の駐在所に逃走時に使用した車両に乗って単身で出頭。同日、熊本県警の捜査員が逮捕し、熊本東署に身柄を移された。
小川氏は「10日には福岡県内に入り、警察は容疑者と関係のある人物の多い糸島市を重点的に捜査していた。この5日間、どこに逃げていたかだが、1人の力で逃げていたとはとても考えられない。5日間食事をしていないとも考えられない。コンビニエンスストアなどを利用すれば、当然だが警察が通報依頼しており発見されてしまう。ここで考えられるのが、第三者の存在である。第三者と一緒にいたか否かは分からないが、知人の第三者が所有する空き家等にいた可能性が高いのではないか。逃走車両もガレージに入れれば分からない」と指摘した。
さらに、同氏は「神奈川県での受刑者の逃走事件では、匿った人物が犯人蔵匿罪で逮捕された。そのことを知っているだろう藤木容疑者が簡単に協力者の名前を言うことはないだろうが、今後の取り調べで厳しく追及されるはず」と付け加えた。
出頭したタイミングについて、小川氏は「体内の覚醒剤反応を消すには1週間前後は必要。前回逮捕された時の裁判では『覚醒剤を100回くらい使った』と話しており、常習性があり、覚醒剤のことも詳しかった。5日間はギリギリだが、自ら出頭したということは、最後に薬物を使用したのが家宅捜索の数日前なら、この日なら大丈夫だろうという判断で出頭したのではないか。出頭すれば少しでも罪は軽くなるという判断もあったのだと思われる。また、出頭前にビールを飲んでいたという目撃情報も、採尿の際に少しでも反応が出ないようにごまかしたい意識があったのかもしれません」と推測した。