さらに北村弁護士は府警の釈明についても疑問を呈した。富田林署の署員が逃走に気づいたのは接見が終了して1時間45分もたっていた。これについて同署は「弁護士から声かけがあると思っていた」という趣旨の弁解をし、「弁護士が終了を連絡してくれれば逃走はなかった」とあたかも弁護士に非があるかのような言い回しをしていた。
府警の弁明について北村弁護士は「弁護士が接見終了を告げるのは、あくまでも部屋があきましたよと伝えるためでしかない。すなわち、被疑者を留置施設に戻すように促し、その接見室を別の被疑者のために使用可能とするためだ」と述べた。
接見終了を署員に告げなければ容疑者がアクリル板を押し破って逃走する可能性がある接見室など、そもそもあってはならない。アクリル板が固定されていることは当然の前提であり、警察への信頼でもある。樋田容疑者がやったように、アクリル板が簡単にはずれるようでは弁護士としては例えば凶悪な連続殺人犯との接見など危険極まりない。
治安を守るべき警察の失態によって住民に恐怖が広がった今回の事件。不祥事の歴史にまた新たな項目が増えたことを、大阪府警は厳しく受け止めなければならない。