誰かに捨てられた首輪をつけた子猫、猫好き夫婦に保護されてやんちゃ坊主に

渡辺 陽 渡辺 陽

誰かが捨てたと思われる子猫が福島県いわき市に、ある日突然現れた。毛糸でできた首輪のようなものが深く首に食い込んでいて痛々しい。やがて子猫は、保護猫を飼っている夫婦に保護されたが、家の中の壁という壁で爪とぎをするやんちゃ坊主になった。

山に捨てられた子猫

2015年10月24日、福島県に住む鈴木さんは、いわき市の一斉清掃の日に、町で子猫を見かけたと人づてに聞いていた。なんとなく気になっていて、近くで見かけたこともあり、「可愛いね」と話していたという。

2日後、その子猫がご主人の職場の駐車場に現れた。「主人も猫が好きなんで、子猫がたった1匹で駐車場にいるなんて危ないなと気にかけていたそうです。もう一度見に行くと子猫がいなくなっていて、近くにいた人に『あそこに猫がいなかった?』と尋ねると、『裏山に捨ててきた』と言われたそうです。『なんてことするんだ!』と思った主人は、山に子猫を探しに行ったそうです」

首輪が喉に食い込んでいた子猫

ご主人が山に子猫を探しに行くと、まるで待っていたかのように、「にゃんにゃんにゃん」と言いながら、子猫が近づいてきた。よく見ると、毛糸でできた首輪のようなものが首に食い込んでいた。あまりにも深く食い込んでいたので、ちらっと見ただけでは被毛に隠れて見えなかったのだ。子猫は、元の飼い主に捨てられたと思われた。

ご主人は、奥様に電話で相談してから、猫を連れて帰宅した。職場から自宅まで車で15分、キャリーバッグを持っていなかったので、運転中に子猫が足元に飛び降りる危険性があったが、まったくそのようなことはなく、子猫は膝の上で大人しくしていた。ひとまず、キャットフードを食べさせて職場に戻り、夕方、動物病院に連れて行った。

生後3か月くらいの大きさだったが、獣医師に診せると6カ月くらいだということだった。「これ以上大きくならない」と言われたが、鈴木さんが保護してから成長し、胴長の子に育った。毛糸の首輪が喉に食い込んでいた影響で、いまでも声が出にくく、上手にニャオと言えない。キャッキャッキャッと鳴くそうだ。

元には戻らない声、しかし元気な猫に


鈴木さんは、子猫をこてつくんと名付けた。4匹の先住猫がいて、末っ子の風花(ふうか)ちゃんが一番のおてんばだったが、こてつくんが来てから大人びたという。
「こてつは、どれくらいの間、外で生活していたのか分からないのですが、とてもやんちゃで、爪とぎやキャットタワーではなく壁で爪をとぐんです。家じゅうの壁紙をほとんどこてつがはがしました」

声だけは元に戻らないが、元気に育っている。

「子猫が産まれても簡単に捨てられると思っている人が、まだまだ多いなと思います。不妊手術をしないと野良猫が増えてしまうということも、もっと多くの人に理解を深めてもらいたい」と、鈴木さんは言う。

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