警戒心が強い野良猫が産んだ子猫たち、母猫ゆずりの性格で個性豊かに育つ

渡辺 陽 渡辺 陽

庭でエサをあげていた野良猫が妊娠した。5匹の子猫を捕獲できたのだが、母猫がとても警戒心が強い子だったので、なかなか人に心を開いてくれない。譲渡会に出してみたものの、1匹の子猫は、「なつかない」ことを理由に返されてしまった。

庭に住み着いた母猫と子猫たち

埼玉県に住む佐藤さん宅にエサを食べに来ていたの雌猫は、ずいぶんワイルドで気が強い猫だった。エサを食べにくるくせに、まったく人に懐かない。シャーっと威嚇したり、ひっかいたりしてくるだけでなく、エサの器を触っただけでも噛みついてきた。

ある日、その猫が妊娠したようでお腹が大きくなった。4月末にエサを食べに来た時は、まだ子猫を身ごもっていたが、5月1日には、庭のどこかで出産したようだった。佐藤さんは、出産用に庭に段ボール箱を置いていたが、それは使わなかったようだった。家の工事を始めると、子猫をくわえて移動するのを何回か見かけたという。

子猫が生後1か月になった頃、母猫が5匹の子猫を連れて庭の真ん中に現れた。佐藤さんは、捕獲機を使って猫の捕獲を試みたが、母猫は警戒心が強く捕まえることができなかった。

譲渡から2カ月後、「もういらない」

ツグミちゃんという三毛猫の子猫は佐藤さんが飼うことにして、4匹の子猫を譲渡会に出した。2匹はすぐにもらわれていった。残る2匹は、母猫の警戒心の強さを引き継いでいたが、とても小さいキジトラのマメちゃんに興味を持ってくれる夫婦がいてトライアルがスタートした。マメちゃんは、佐藤さんのところにいたモクレンちゃんという猫のことを母猫のように思っていて、お乳を吸っていたので、「モクレンちゃんと一緒にどうですか」と勧めたが、「共働きだし、初めて猫を飼うので子猫だけでいい」と断られた。

2カ月後、トライアルの期間はとうに過ぎていたのだが、夫婦が「全然なれないからいらない」と言ってマメちゃんを返しにきた。
「ご主人のほうは、『ごめんね、もう1回顔を見せて』と言っていましたが、奥さんのほうが辟易して、もういらないという感じがにじみ出ていました」

人なれしていない2匹の子猫も、佐藤さんが飼うことにした。

三者三様

同じ母猫から産まれた子猫でも、性格は三者三様だ。

マメちゃんは、捕獲機で捕まえたのがトラウマになったようで、目を見ると逃げてしまう。できるだけ見ないようにして、自由にさせている。相変わらずモクレンちゃんのことが好きで、いつも一緒にいて、同じベッドで寝ているそうだ。

カケスと名付けた白黒のハチワレ猫は、母猫に似たのか荒くれもので、他の猫が逃げていく。ただ、佐藤さんには、目が合うとお腹を見せてコロンとなってなでろと言う。

ツグミちゃんは、最も警戒心が強く、いまだにちゃんと触れない。近づくとキャットタワーの一番上に避難して身構える。
「ツグミには、大丈夫ですか?ご気分はいかがですか?と敬語で話しかけています」

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