生後2カ月の小さな猫、捨て猫か 保護して大家族の仲間入り

渡辺 陽 渡辺 陽

 野良猫がたくさんいる場所に、夜の闇にまぎれて猫を捨てに来る人がいる。りんりんちゃんは、とても小さな猫だったが、大きな大人の野良猫たちに混じって、一生懸命ごはんを食べていた。

大きな猫に混じってエサを食べる小さな、小さな猫

 静岡県富士市内の河川敷には、50~60匹もの野良猫がいて、エサを与える人がTNR(不妊手術をして、元いた場所に戻す)をしている。野良猫がたくさんいるから1匹や2匹増えても分からないと思うのか生きていけると思うのか、周辺に民家がないので、夜間に猫を捨てに来る人が後を絶たない。しかし、野良猫たちの世話をしている人たちは、どの子がずっと住み着いている野良猫なのか、どの子が捨てられた子なのか見分けがつく。

 りんりんちゃんは他の猫に比べたらとても小さく、大きな猫に混じってご飯を食べているところを発見された。小さな猫が捨てられることはよくあるが、りんりんちゃんは、そのなかでもひときわ小さかった。河川敷には雨をしのぐ場所もなく、民家もないため、厳しい環境で生きていかねばならない。2016年2月、猫の保護活動をしている植松さんは、ボランティア仲間からりんりんちゃんのことを聞き、いたいけなりんりんちゃんを保護した。

 りんりんちゃんは、生後2カ月くらい。お母さん猫や兄弟猫も見当たらず、誰かが飼っていた猫を捨てたと考えられている。

帰宅するとゴロゴロスリスリして喜ぶ猫

 りんりんちゃんは毛が長くて真っ白な猫だったので、植松さんは、最初は女の子だと思ったが、じつは男の子だった。

 臆病なところもあったが、すぐになついてくれたという。寒さが身にしみる冬に外で生活していたので猫風邪をひいていたが、それもうまく乗り切り、6.3kgの立派な体格になった。

 植松さんは実家で6匹、自宅で3匹の猫を飼っているが、りんりんちゃんは、実家にいる猫の茶太郎くんと折り合いが悪い。どちらも1番になりたい子なので、ぶつかってしまうのだ。いまは、りんりんちゃんは植松さんの自宅で暮らしているが、他の猫の上にわざと乗ってみたり、覆いかぶさったり、毛を逆立てて向かっていって「強さ」をアピールする。網戸越しに野良猫が来ることもあるが、その猫にも向かっていく。しかし、人のことは大好きで、植松さんが帰宅すると、お腹を見せてゴロゴロする可愛らしい一面も見せてくれる。

犬よりも捨てられやすい猫たち

 長年、猫の保護活動をしている植松さんは、猫は犬に比べて捨てられやすいと言う。

 「犬は狂犬病ワクチンを接種するので、飼い主は市町村に登録する義務があります。でも、猫は登録制じゃないので、比較的簡単に飼えるんです。飼えなくなったら捨ててしまう。昔に比べたら少なくなりましたが、民家がないようなところには捨てに来る。猫は臆病なので、捨てられると、その場から離れられなくなるんです。捨てられた場所でうろうろしていることが多いんです」

 

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