翌日に向かったのは、ソウル最大の文化アミューズメント複合施設「COEX」に隣接するセブンラックカジノ江南。ここもパラダイス同様の外国人専用カジノでパスポートが必要だが、違いは韓国観光公社の子会社が運営している点だ。中に入ると、こちらも中国系が中心で続いてインド系、ヨーロッパ系、日本人の順。アジア系のおばちゃんが慣れた手つきでチップを張っていくのが印象的だった。ここでは定番の「バカラ」に挑戦。流れがいいときもあったが、前日の負けを半分取り返したところで撤収した。
結局、今回のカジノツアーは帰国前に性懲りもなく再びパラダイスシティを訪ねて完敗した。悔しいけど、これも想定内。勝つときもあれば負けるときもある。勝負事はすべからく、このような距離感が大切ではないか。
改めて、そう感じたのは今回、旅先で日本語が話せるタクシー運転手からこんな話を聞いたからだ。00年、韓国人も楽しめるカジノ「江原ランド」がオープンした。すると「できた当初はみんな面白がってカジノに行ったが、お金がなくなり、家もなくなる。いまでも時々、ソウルからタクシーで2時間、20万ウォン(2万円)ほど払って行く人がいるが、帰りはバスですよ。周辺にはカジノホームレスがたくさんいる」。
まさにカジノの光と影。韓国ではギャンブル依存症の被害を軽減するため、賭博問題管理センターを設立し、全国の拠点で相談や治療を行っている。“大阪カジノ”ができる前に、まずは「カジノと上手に付き合う方法」を編み出す必要がありそうだ。