帰宅してから息子さんに相談すると「そんなに裕福じゃない」「でも、子猫がいると聞いて、私が放っておけるとは思わなかったでしょう」とケンカになった。
医療費のことで悩む吉本さんに、知り合いの猫好きの住職さんが、医療費の一部を負担し、「椿ちゃんをうちに迎えようか」と言ってくれたという。空ちゃんのことも心配して、「お手伝いできことはしたい」と言ってくれている。
獣医師も「どうしたものか」と考え、歪んだまま固まっていた骨を、できるだけ元あるべき形に戻し、大腸を圧迫しないよう骨を固定、排泄ができるようにした。費用もできる限り安くしてくれたという。
「神経が完全に通っていないため、自分の足であって足でないような感じなのか、右足の足先をペロペロなめてしまうんです。それでも、駆け足くらいはできるようになりました」
先住猫とも仲良くなって
治療したかいがあり、椿ちゃんは生後9カ月になった。できるだけ足先をなめないよう、吉本さんは、洋服に靴下をつけるなど工夫している。
先住猫の空ちゃんは、椿ちゃんを触った手でなぜようとしたら、逃げ出してしまったという。
「空がやきもちを妬いて病気にならないか心配でした。でも、2、3日で治まり、同じ器で水を飲んだり、鼻をツンツンしたりするようになったんです」
吉本さんは、いつも先に空ちゃんの食事を準備するが、空ちゃんは、椿ちゃんが食べるのを見てから自分もご飯を食べる。部屋の中で椿ちゃんがどこにいるのか分からず探していると、空ちゃんが「ここやで」と教えてくれるという。