交通事故に遭って動けなくなっていた子猫…大手術を乗り越えて

渡辺 陽 渡辺 陽

暗闇の中、排水口に入ってしまった黒猫の子猫をレスキュー

 2019年1月、推定生後6カ月くらいの黒猫の椿ちゃんは、大阪に住む吉本さんに保護された。吉本さんは、椿ちゃんの他にも、空ちゃんという保護猫を飼っている猫好きだ。

 吉本さんの家の周辺では、子供たちが盛んに「子猫がいる」と言っていたので、ご飯を持って探したことがあるが、姿は見たことがなかったという。

 ある夜、吉本さんの息子さんがランニングに出かけた時、「近くまで帰ってきたんだけど、子猫が足元で鳴いている。足を動かせないようだけど、どうしよう」と電話してきたという。吉本さんは、とりあえずバスタオルやダンボール箱を持って、子猫がいるというところに行ってみた。息子さんがしゃがんで抱き上げようとしたら、逃げて溝の中に入り、さらに溝ぶたの下に潜って体が半分濡れていた。

 「手を伸ばしても届かず、夜だったので暗くてよく見えなかったのですが、近くの家の排水口に頭と手だけが入っていて、お尻だけが見えているのが分かりました。息子と代わる代わる手を伸ばしたら、なんとか届いて排水口から出すことができたんです」

治療をしなければ亡くなる、しかし…

 特に傷は見当たらなかったが、足が悪いのが見て取れた。翌朝、かかりつけの動物病院に連れて行き、レントゲンを撮ると、骨盤を骨折していて、骨が歪んだままくっついていることが分かった。背中の毛を剃ってみると10cmくらいの傷跡もあり、事故に遭ってからだいぶ日にちが経っているようだった。

 「『このままだと排泄ができなくなり死んでしまうが、どうしますか』と先生に言われたんです。手術代などの治療費は約50万円。中に入れるプレートやボルトによって治療費が変わるため、整形外科專門の病院に行くとさらに費用がかさむということも分かりました。すぐには決断できず、その日は、とりあえず病院で預かってもらいました」

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