ネオ・バブル女子が求める“リッチ”な女性像 ベッド・イン「心のバブルは弾けない」

北村 泰介 北村 泰介
バブル風の衣装でライブを繰り広げるッド・インの(前列左から)益子寺かおりと中尊寺まい
バブル風の衣装でライブを繰り広げるッド・インの(前列左から)益子寺かおりと中尊寺まい

 近年のバブル再評価ブームにあって「バブル」という言葉の解釈が変わった。元々はネガティブな意味だったはずだが、バブル景気の前後に生まれたアラサー世代よりも若い女性たちの中で、あの時代のポジティブな精神性を求める「ネオ・バブル女子」が出現している。そんな彼女らに支持される2人組音楽ユニット「ベッド・イン」に話を聞いた。

 ボーカル担当の益子寺かおりはバブル前夜の1985年生まれ。「結成した2012年当時はバブル文化の『バ』の字も周りでは聞かなかった。バブルって一般的には『ダサい』と思われ、『負の時代』と語られる方も多かったんですけど、私たちは当時を知らないので、逆に魅力的に思うところだけが輝いて見えて“桃源郷”というイメージがある」

 ギターとボーカル担当の中尊寺まいはバブル期の87年生まれ。「いい意味で『失敗してもいい時代』だったと思います。私たちや下の世代だと『失敗することが世の中的にいけないこと』という抑圧もあって、そういう部分がバブルへの憧れを作っているのかなと」

 “地下セクシーアイドル”と称した活動初期、ファンは「バブル時代を知ってるけど甘い蜜を吸えなかったオジ様たち」(中尊寺)が多かったというが、16年のメジャーデビュー前後には女性客が急増。中尊寺は「女性が6対4くらいで多い」、益子寺は「女性に火が付いたのはここ2、3年」と分析。ライブには肩パットの入ったボディコン姿で扇子を振る若い女性が詰めかけ、終演後は着替えて整然と帰っていく。

 中尊寺は「バブル時代の熱量みたいなものに憧れながらも、堅いところに就職したり、生活の安定だったりとか、今の時代を生きている子が多いなと気づかされた」という。

 あの当時の“バブル狂想曲”は消費され、約30年後の今起きている再評価ブームも“ブーム”である限りはやがて消費される。今、ベッド・インが体現する生き方はブームに左右されず、いつの時代にも通じる女性の自立精神に貫かれている。

 中尊寺は「中学生の時からギターをやっていて、自分が女であることが悔しくてコンプレックスだった時期があった。『女は女のままでいい』と思わせてくれたのはバブル時代の女性像。“心のバブル”がはじけなければいいんじゃないかと」

 益子寺は「目指すのはバブルの再来。日本が自由で“元気びんびん物語な時代”に戻ってくれたら。お金持ちになりたいとかじゃなく、心をリッチに、自分の理想像を追求する女性たちが“ネオ・バブル女子”なのでは」

 6月30日の沖縄から7月に東名阪ツアーを控える。益子寺は「ナウでヤングなサムシングとダンスビートを融合させてネオ・バブルな曲を作ることはずっと大事MANにしていること」。中尊寺は「自分たちのポリシーを曲げず、いつか紅白歌合戦に出られる時が来たら、日本が自由で規制が緩くなった証ではないかと。ボディコンギャルを引き連れて紅白で踊りたいですね」。バブルではなく、2人の笑顔がはじけた。

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