2012年に亡くなった歌手・桑名正博さんの長男で歌手・美勇士と桑名さんの息子を名乗る“桑名乃羅”氏が昨年末、正博さんの息子がどうかを調べるためテレビ番組のなかでDNA鑑定を受けて話題になった。“乃羅”氏は2年前に亡くなった母親から「桑名正博の息子」と聞いたと話している。一方で桑名さんは1980年に歌手のアン・ルイスと結婚して美勇士をもうけたが、84年に離婚した。
DNA鑑定といえば、いまや犯罪捜査において多くの事件に活用され、犯人特定や犯罪事実の証明に欠かせないものとなっている。では実際にDNA鑑定を受けるには、どういう手続きが必要で、どのくらいの費用がかかるのだろうか。弁護士法人神戸シティ法律事務所の二宮淳次弁護士に聞いた。
公・法的鑑定と私的鑑定
-DNA鑑定には2種類あるそうですが『公・法的鑑定』と『私的鑑定』の違いはなんですか。
「一般的に『公・法的鑑定』とは、刑事事件において捜査機関によって行われる鑑定や民事訴訟手続きおよび人事訴訟手続きにおいて、当事者の申し立てまたは裁判所の職権で行われる鑑定のことを言います。これに対して『私的鑑定』とは、親子関係に関する紛争について、訴訟手続の前段階または、訴訟手続において裁判所による鑑定を促すために行う鑑定のことを言います」
(続けて)
「鑑定業者によっては『公・法的鑑定』と『私的鑑定』との呼称を用いて、それぞれに料金設定をしているようですが、その差異は法的に区分されるものではなく、簡易な検査によるものか、鑑定書を付けることができる検査によるものかとの違いによるものであると考えられます」
-鑑定を相談する場合は、法律事務所でよろしいのでしょうか。
「親子関係または、兄弟関係を確認するために、相手方がDNA検体採取に協力するのであれば、民間の鑑定業者においてDNA鑑定を受けることができますので、法律事務所に相談する必要はありません。ただし、戸籍の記載が実態と異なり、親子関係を実態に則したものへと変更する必要がある場合や、相手方がDNA検体採取に協力しない場合においては、法的手続きに移行する必要がありますので、弁護士に相談する必要があります」
-鑑定は具体的にどういう風に受けるのでしょうか。
「口腔内の粘膜を綿棒用のもので複数回擦って検体を採取し、自らの検体と他の人から採取した検体の情報を比較解析することで、DNA鑑定がなされます」