ミュージシャンで俳優のピエール瀧こと瀧正則容疑者(51)が麻薬取締法違反(コカイン使用)の疑いで関東信越厚生局麻薬取締部に逮捕されたことを受け、元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏は13日、デイリースポーツの取材に対し、「マトリ(麻薬取締官)は相当確度の高い情報をつかんでいたはず」と、その背景を指摘した。
小川氏は「薬物捜査で家宅捜索の際には裁判所が発付する『捜索差押許可状』が必要となり、これは強制捜査となる。著名人を捜査する際、『自宅を探したが薬物は出てこなかった、本人からの体内からも出てこない』では許されない。瀧容疑者に関しては情報を得てから水面下で捜査が続けられており、相当、確度の高い情報を得たうえで家宅捜索に踏み切ったと考えられる」と分析した。
家宅捜索で薬物の発見には至らなかったが、瀧容疑者の尿からコカインの陽性反応が検出され、これが逮捕の決め手となった。小川氏は「『尿検査をしたが検出されなかった』では許されない。(今日なら)出るであろうという、確度の高い情報をつかんでいた」と指摘した。
過去に芸能人が薬物で逮捕されたケースで、コカインでは俳優の故・勝新太郎さん(1990年逮捕、判決は懲役2年6月、執行猶予4年)、女優(当時)の高部あいさん(2015年逮捕、起訴猶予処分)が該当するものの、大麻や覚醒剤の使用や所持で逮捕されたケースに比べると少ない。小川氏は「覚醒剤に比べて、コカインのルートが日本では少ないということもあります」と解説した。
瀧容疑者の今後はどうなるのだろうか。小川氏は「これからは“突き上げ捜査”になります」と明言。「突き上げ捜査」とは組織的犯罪の捜査手法で、末端の人物から調べていき組織の中枢へと捜査を進めていくこと。同氏は「コカインの入手先や入手経路と、本人の常習性に関しても厳しい取り調べになるでしょう」と説明した。