子供にウソをついて治療、検査をしたらダメ!ある少女と我が子の場合

町医者の医療・健康コラム

谷光 利昭 谷光 利昭
 病院の待合室には数々の“ドラマ”があります
 病院の待合室には数々の“ドラマ”があります

 ある中学生の女の子が私の前に座り、診察を待っている。背もたれのあるイスに身を委ねている少女は、高熱のためなのか顔色が非常に悪く、震えているようにも見える。私を見る目は引きつっていて、明らかに恐怖を押し殺している感じだ。

 私の「顔」が怖いのか?

 私の容貌はお世辞にも優れているとはいえず、理髪店で座って鏡を見ていると気分が沈んしまう。だから、私はいつもすぐに目を閉じ、異次元の世界に行くようにしている…話がそれたので、もとに戻そう。

 予防接種のときに、私を待つ中学生、小学生、あるいは幼稚園の子供の多くは親御さんと話をしながら笑っているか、緊張しながら待っているのだが、明らかにそれらと違う表情の子もいる。これから行われるであろう医療行為に対する恐怖におののいているのだ。

 冒頭に書いた高熱の女の子も恐怖、緊張から神経のバランスが崩れて、検査の話をしているだけで意識が朦朧(もうろう)となり、座っていられなくなった。いわゆる貧血症状だ。すぐにベッドに寝てもらい、しばらく休んでいるとなんとか回復した。

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