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たかが脱腸、されど脱腸…しっかり治療を

町医者の医療・健康コラム

谷光 利昭 谷光 利昭
 谷光院長が愛用している聴診器
 谷光院長が愛用している聴診器

 私には息子がいます。彼が、小学3年生だったころ、衝撃的な告白をされました。

 「パパ、金玉三つあるねん!」

 これは精巣腫瘍か…?脳裏に嫌な思いがよぎります。脂汗をかきながら、息子の睾丸を触診しました。他人が見れば、滑稽(こっけい)?に思われた光景かもしれませんが、本人も、私も真剣です。時間により大きさが変化し、臥位で消失します。いろいろ確認したら、一気に顔がほころびました。脱腸です。医学名は「鼡径(そけい)ヘルニア」です。患部がかなり大きく、痛みも出現してきたので、手術の手配をして無事に終了しました。後日談ですが、彼は3歳のころにも「1個金玉が増えた」と告白していたそうですが、私が「気のせいや」と一蹴したと、今も恨み節をタラタラといわれます。身内の診察はするなとは、よく言ったものです。

 脱腸いわゆる鼡径ヘルニアは、手術をしないと治癒しません。以前はヘルニアバンドなどで対処している人を時々見ましたが、それでは完全に治癒することはないのです。鼡径ヘルニアというと、たいしたことがないように思われがちですが、実は命に関わることもあるのです。

 鼡径ヘルニアが、出たり入ったりしているうちはいいのですが、出たまま戻らなくなり、そこから脱出した腸管が腐ってしまうことがあります。嵌頓(かんとん)ヘルニアという危険な状態です。こうなると、命に危険が及ぶことがあります。

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