「和風」という風をご存じですか?

空を仰いで

気象予報士・半井小絵
気象予報士・半井小絵

 一雨ごとに暖かくなり、桜の蕾も綻んでくるこの季節。春の気配が濃くなってきました。皆様いかがお過ごしですか?

 気象予報士の半井小絵です。

 今回からお天気、季節にまつわる事から世の中の事など、幅広くお伝えしたいと思います。

 このタイトル「空を仰いで」には、様々な想いを込めています。

 忙しい毎日をお過ごしの皆様にも、空を仰いで肩の力を抜いていただけるひとときとなることを願ってお届けいたします。

 「あの山に雲がかかると天気は下り坂」

 各地には天気を予想する知恵が古くからあります。このような言い伝えは、今後も変わらず守られていって欲しいと思います。コンピューターによる予報技術が進歩する中でも、雲行きが怪しい時には空を見上げて、実況を確認することは大切なことです。

 春の空を眺めると、私は4年前に他界した大好きな祖母の顔が浮かびます。この季節は秋のような澄んだ青空はなかなか続きませんが、薄い雲に柔らかに包まれ、ぼんやりと霞む優しい色合いの空が広がります。

 「春は霞」というように霞むことが多いのは、この季節、気温が上がって空気中の水蒸気が増えるためです。ほかには、ちりやほこりが舞い上がりやすくなるため、大陸からの黄砂や花粉が飛散するためなど多くの要因が考えられます。花粉が目に染みる私は、美しい空だ~と単純に喜んではいられません。

 花粉がよく飛ぶ日の気象条件のひとつが風の強い日です。「春の嵐」という言葉があるように、冬の名残の冷たい空気と春の暖かい空気がぶつかりあって、低気圧が急発達します。先日も春の嵐が吹き荒れました。

 3月10日15時、九州の南で998hPaだった低気圧が11日15時には三陸沖に進み964hPaまで気圧が下がりました。昨年、大きな被害をもたらした台風24号が和歌山県田辺市に上陸した時の気圧が960hPa。まさにこの三陸沖の低気圧は「台風並み」に発達したわけです。植物が芽吹いて、色とりどりの花が咲く季節に、発達した低気圧の訪れはもう少し待ってもらいたいものです。

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