それから約1カ月。異動時期が迫る中、衣笠さんは無事だったのか、市長の逆鱗(げきりん)に触れなかったのか恐る恐るたずねたところ、「市長からはおとがめはありません」という回答が返ってきた。それなのに早期退職し、第二の人生をNPO活動に捧げる決意を固めたという。
入庁以来、32年の公務員人生でできなかったこと。「予定調和」や「あるべき姿」とはまた違う、「訳分からなさ」の力。「世の中を良くするのは『正しいこと』ばかりじゃない。この年齢になるとなかなかできないけれど、実はアホなことがしたくてウズウズしている人は多いはず。そんな人たちを知ってか知らずか巻き込みながら、とにかく面白いことを思い切りやって、生活を豊かにしていきたい」と、真面目に意欲を燃やしていた。