広島市中区の住宅で無職植松一広さん(86)が殺害された事件で、広島県警が住所・職業不詳の冨田幸誠(ゆきのぶ)容疑者(34)を強盗殺人容疑で全国指名手配したことを受け、元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏は25日、デイリースポーツの取材に対し、さらに犯罪を重ねる可能性を懸念した。
県警によると、冨田容疑者は19日夜から20日朝の間に、植松さん宅に侵入し、首や胸を刃物のようなもので10数回刺して殺害し、現金を奪った疑い。その後の足取りがつかめず、県警は24日に公開捜査に踏み切った。
小川氏は公開指名手配の意義について「良い点、悪い点、一長一短があります。良い点はいろんな方面から情報が集まること、指名手配された容疑者の逃走を手助けすれば、その者が犯人隠避罪に問われることになるため、その抑止力になること。悪い点は犯人に指名手配されていることを知られてしまう点です」と解説した。
同氏は「この事件は現場に残された血痕等のDNA、事件後に病院で治療を受けていること等から容疑者の特定は早く、逮捕状の発付も早かった。しかし、22日の昼頃に福山駅近くの防犯カメラに映っているのを最後に、その後の足取りが分からないのが現状です」と経緯を説明。また、「福山駅から電車に乗車した可能性も否定はできませんが、どこかに潜んでいる可能性も十分考えられる。また、誰かの手助けを受けている可能性もある」と指摘した。
さらに、小川氏は「逃走するにはお金も必要ですし、住むところも必要です。そういったことで第2、第3の事件が起きる可能性も当然あると思います」と危惧した。
冨田容疑者は身長約160センチで小太り。事件当日に同容疑者が映っていた広島市内の防犯カメラでは、負傷しているとみられる左手の親指に包帯を巻き、黒縁のメガネと黒のジャケット姿だったという。情報提供は広島中央署(082・224・0110)か110番へ。