初心者が「古民家カフェ」をつくるには?大阪の歴史的建造物をリノベしてみた

ほろほろと身が崩れるくらい煮込んだチキンカレー
ほろほろと身が崩れるくらい煮込んだチキンカレー

 「実は、明治時代に郵便局として使われていた建物でもあったんです。その味わいを残すため、ガラス窓や柱などは当時のまま。キッチンのカウンターテーブルも郵便局時代のものなんですよ」

 ところで、最大の難関とも言えるメニューづくりは、どう乗り切ったのか。

「唯一自分が自慢できるものは何かな、と考えたとき、浮かんできたのがスパイスカレー。スパイスの奥深さに魅了され、以前からカレーを探求していたんです。これなら素人のわたしでも他の店と差をつけられるんじゃないかと」(櫻井さん)。

 カレーメニューは「ほろほろチキンのゆくるカレー」や「ひよこ豆のキーマカレー」など、スパイスからブレンドした完全オリジナル。いまでは看板メニューとして、若い方だけでなく年配のお客さまにも人気だ。オリジナルのガラムマサラで、自分好みの辛さに調節できるというこだわりもある。

 実は、店主の2人は音楽家でもある。三宅さんは三線奏者、櫻井さんはウクレレとギター奏者で児童音楽にも携わっている。「自分にとっては、演奏するのも料理を作るのも根本は同じなんです。とにかくお客さま全員に楽しんで帰ってもらいたい。その思いでやっています」と櫻井さん。カフェでは定期的にライブを開催しており、櫻井さんと三宅さんがステージに立つこともあるという。

 茶吉庵の敷地内にある「まちライブラリー」を利用できる点もユニーク。地域の人や出版社から寄贈された本を、カフェに持ち込んで読むこともできる。「何時間でも好きなだけ読んでいってくださいね」(櫻井さん)。

 敷地内では多彩な催しも開かれる予定だ。ギャラリーでは、5月24日から6日間、日本のまだ見ぬ芸術家を発掘する「ジャパンあるてぃすと展」を開催する。世界に羽ばたく芸術家を、茶吉庵のある八尾市から輩出したいとの思いが込められている。

 店名の「ゆくる」は、沖縄弁でゆっくりやくつろぐという意味。

「ここに来たらほっとする、癒される、ずっといたくなる。訪れた人にとっても、そして私たちにとっても、そんな場所を目指していきます」

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