クラスのみんなに好かれる子には、誰もが納得できる理由があるのかもしれません。漫画家・鬼井イモリさんの作品『大怪獣!アカリちゃん』では、怪獣のように振る舞う少女と気弱な少年との邂逅(かいこう)が描かれています。同作は『目立ちたくない系男子がカースト上位の怪獣系女子に振り回される話』としてX(旧Twitter)に投稿されると、約9.2万ものいいねを集めた注目作品です。
小学5年生のアカリは、ワニみたいな大きな目と口、そしてピンクと黄色の矯正器具を歯から覗かせる、まさに怪獣のような少女です。今日もとあるクラスの男子の頭を掴んで「5年のプリン根こそぎ集めてこいっつったよなぁ!?」と迫り、周囲のクラスメイトたちは大盛り上がりしています。
そんななか転校生の少年・湊は、クラスメイトたちの騒ぎに関わりたくないと思いながら、自分の席に隠れて座っていました。とはいえ、クラスメイトの視線がアカリに向いているおかげで、夏にも関わらず湊が長袖を着ていることや、プリンをアカリに渡していないことに気付かれていないのはラッキーだと思っているようです。
しかし放課後、ランドセルにプリンを入れようとしている湊は、偶然アカリにその場面を見られてしまいます。プリンを奪われたらどうしようと焦る湊に対して、アカリは「ソレ暑くないの」と長袖の服を気にしていました。この質問に湊は「アトピー隠してる…」と正直に話すと、アカリは何か言おうとするものの、他のクラスメイトが教室に入ってくるとそのまま去って行きます。
その後、自宅に帰ったアカリは湊と会話したことに喜ぶのでした。じつはアカリは、湊が端正な顔立ちをしており「かっこいい」ことを気にしていたのです。そして、転校生というだけで目立つ湊がかっこいいことがクラスメイトに知られたら、自分より目立ってしまうという対抗心もありました。
それに加えて淡い恋心から、自分だけが湊がかっこいいことを知っていることに喜んでいるようです。アカリはこの恋心と対抗心から、現在のような派手な格好をしはじめたのです。
そんなアカリの胸中を知らない湊は、アカリに自分がアトピーを気にして長袖の服を着ていることを知られてしまったことを後悔しています。そのため、湊はアカリの目から離れようと図書室に行くと、そこにはなんと黙々と本を読むアカリがいました。湊は前の学校ではアトピーが原因でからかわれていたため、アカリが次々に友達に話しかけられる様子に憧れを抱きつつ様子を眺めます。
その日の給食は、またもやプリンが登場します。家に持って帰って食べようと思っていた湊でしたが、ついにアカリにプリンを取られてしまいました。そのまま立ち去ってしまったアカリの姿に呆然(ぼうぜん)としていると、ここで注目されたことをきっかけに、湊はクラスメイトたちに「なんで長袖着てんの?」と質問責めに遭います。クラスメイトからの注目に怖くなった湊は、教室から逃げ出してアカリに「プリン返して!」と叫びました。
するとアカリは「だめ!コレたまご入ってるッ!」と意外な答えを返してきたのです。どうやらアカリが図書室に居たのは、湊のアトピーについて調べるためでした。そしてアトピーは卵でも悪化すると思ったアカリは、湊の身体を心配してプリンを奪ったのです。
それを聞いた湊は、アカリに自分のアトピーは治っており、長袖は痕を隠すために着ていたことを話します。それを聞いたアカリは、「じゃあアタシも明日から長ソデ着てこよっかな。そしたらみんなアタシの真似して、すぐ目立たなくなるよ」といいます。その様子に湊は、アカリがなぜみんなに人気があるのかが分かった気がしたのでした。
読者からは「アカリちゃんが尊すぎる…」「2人の今後が気になる!」などの声があがっています。そこで、作者の鬼井イモリさんに話を聞きました。
アカリちゃんはクラスのみんなに思われるほど外向的な人間ではないのかも
―同作を描いたきっかけについて教えてください
きっかけは特にないです。お話を描く時はいつも、落描きでいい感じの顔が描けてそこから「こいつはキャラにできそうだな」となり、冒頭3ページを試しに描き、面白そうであれば続きを描く、という感じです。
―周囲からは明るくて強いと思われているアカリちゃんですが、素の彼女はどのような子だとご想像しますか?
クラスのみんなに思われてるほど外向的な人間ではないんじゃないかな、と思います。転校生の大津くんが現れるまでは大人しい性格だったのでは、と。必要があればどんな人間にもなれてしまいそうなのがアカリちゃんの強みです。
―読んでいて気持ちが晴れやかになるような作品でした。鬼井さんは、ほかにはどのような作品を描いているのでしょうか
お気に入りのものだと「超能力者か!?」や「任侠フィアンセ」、「マジカル♡お嬢様」、別雑誌ですが「藤野と給食」あたりでしょうか。
とくに「気持ちが晴れやかになるように」と思って描いている訳ではないのですが、読み返すとスカッとするような終わり方になってしまいますね。いつかドロドロの胸糞漫画とか描いてみたいです。
【鬼井イモリさん関連情報】
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