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平安時代に作られた「邪鬼」を赤ちゃん抱っこ……だと? 寺の至宝「抱き邪鬼体験」が大人気

京都新聞社 京都新聞社

 平安時代に作られた貴重な「邪鬼」を赤ちゃんのように抱っこ-。愛知県豊橋市の名刹(めいさつ)・普門寺では、そんなユニークな「抱き邪鬼体験」ができる。邪鬼といえば、四天王などに踏まれ、苦しそうな表情を浮かべていることが多い。しかし、この邪鬼の表情は、まるで赤ちゃんがすやすやと眠っているかのように安らかだ。京都市下京区の龍谷大龍谷ミュージアムで9月19日に始まる秋季企画展「みんなおいでん!東三河の普門寺さん」では、この愛らしい邪鬼を間近で見ることができる。

 秋季企画展では、普門寺の歴史を貴重な文化財とともに紹介。抱っこする「邪鬼」は普門寺の寺宝だ。踏みつけていたはずの仏像部分の大半が失われているため、余計にその「寝顔」が際立って見える。

■トークライブで「あやした」ことから

 「抱き邪鬼」のアイデアを生み出したのは、みうらじゅんさんといとうせいこうさんだった。2人は、2011年に「見仏記」の取材で同寺を訪問。その後、16年に「東海美仏散歩」を出版した際に、同寺を再訪し、トークライブを開催した。その中で、みうらさんが赤ちゃんをあやすように邪鬼を抱き、2人で「『抱き邪鬼』もいいんじゃない」と語った。

 行基が1300年前に開創したと伝わる普門寺。寺宝の中には文化財指定を受けているものも多いが、この邪鬼は文化財に指定されておらず、人に触れてもらうことが可能だった。住職の林義将さん(38)と名誉住職の隆清さん(71)は、みうらさんら2人のアイデアを実現するため、仏師に邪鬼を保護するための加工を依頼した。トークライブの翌年ごろから「抱き邪鬼体験」を始め、これまで500人以上がこの邪鬼を抱きしめてきたという。

 普門寺は、紅葉の名所として知られるが、山あいにあるため交通の便は決して良くない。「抱き邪鬼体験は寺を知っていただき、来てくださるきっかけになっている」と林住職。ユニークな体験を入り口に、寺の歴史や文化財継承の物語に触れてもらいたいという思いもある。

■京都に「お引っ越し」の縁で

 普段、この邪鬼は普門寺の収蔵庫に大切に保管されており、体験できるのは住職が案内する「プライベートツアー」などに限られている。しかし今回、普門寺の収蔵庫改修に伴い、寺宝が一時的に龍谷大龍谷ミュージアムに「お引っ越し」。その縁で秋季企画展が実現した。林住職は「展覧会が普門寺を知る機会になれば」と話している。

 京都でも「抱き邪鬼体験」の機会が用意されたが、展覧会の開幕前に定員が埋まってしまうほどの人気ぶりだった。抱っこはできないが、会場で見ることができ、写真撮影もOKだ。また、「講演会」や「顔出し看板を作るワークショップ」などさまざまな企画があり、龍谷ミュージアムのホームページから申し込める。

 秋季企画展は11月23日まで。一般1200円(前売り千円)。同ミュージアムと京都新聞などの主催。

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