オールシーズンタイヤの賛否はプロの整備士同士でもSNSで議論され、ユーザーの間でもここ数年で認知度が大幅に向上しています。
大切なことは、オールシーズンタイヤをチョイスする場合、その特性や性能をしっかりと理解したうえで使うことです。
本記事では、現役の整備士がオールシーズンタイヤの特徴やデメリット、タイヤの選び方、どういった人におすすめなのかを分かりやすく解説します。
オールシーズンタイヤとは
オールシーズンタイヤは、その名のとおり1年を通して使用可能なタイヤのことで、ノーマルタイヤとスタッドレスタイヤの両方の性能を兼ね備えたタイヤです。
ただし、双方の性能をそのまま維持できているわけではないので注意が必要です。
▽ノーマルタイヤとしての性能はノーマルタイヤの方が上
ノーマルタイヤも製品によって大きな性能差がありますが、基本的なノーマルタイヤとしてのグリップ力や雨天時の排水性は、オールシーズンタイヤよりノーマルタイヤの方が優れています。
スタッドレスタイヤとしての性能を兼ね備えるためには、どうしてもこれらの要素をある程度犠牲にする必要があるためです。
▽冬用タイヤとしての性能はスタッドレスタイヤの方が上
オールシーズンタイヤはノーマルタイヤとしての性能も維持しつつなので、特に冬用タイヤとしての性能は劣ります。
スタッドレスタイヤは凍結路での使用も想定したタイヤですが、オールシーズンタイヤだと凍結路での制動距離が大きく伸びてしまうことがタイヤメーカーが公表しているテスト結果からも分かります。
タイヤメーカーも、オールシーズンタイヤでの過酷な積雪路や凍結路の走行は控えるようにアナウンスしています。
▽スノーフレークマークの有無に注意が必要(冬用タイヤ規制時)
ASTM(米国試験材料協会)の規格を満たし、積雪時でも性能を発揮できる冬用タイヤとして認められたオールシーズンタイヤには、サイドウォールに「スノーフレークマーク」が刻印されています。
冬期に冬用タイヤ規制のかかった道路を走行する場合には、スノーフレークマークの刻印されたタイヤを装着していなければいけません。
オールシーズンタイヤには、このスノーフレークマークの刻印があるものと無いものがあります。
マークの無いものは積雪路走行可能を謳っていても、冬用タイヤ規制された道路は走行することができないので注意が必要です。
オールシーズンタイヤはやめた方がいい?
ここまでの解説だと、オールシーズンタイヤはやめた方がいいのではないかと考える方も多いでしょう。
オールシーズンタイヤのデメリットも解説しつつ、どういった使用環境の人におすすめなのかもお伝えします。
▽冬用タイヤとしての性能は不十分
上記で解説したように、ノーマルタイヤとして必要な性能は当然、ノーマルタイヤに軍配が上がります。
冬用タイヤとしての性能も同様ですが、その性能差はより顕著です。
雪の降りはじめや薄っすら積もる程度では問題ありませんが、アイスバーンでの制動距離はむしろスタッドレスタイヤよりノーマルタイヤに近いという検証結果もあります。
参考:[Q]「オールシーズンタイヤ」って、どんなタイヤですか?(JAF)
オールシーズンタイヤはスタッドレスタイヤの代わりにはなり得ません。
この点は勘違いされやすい大きなデメリットです。冬用タイヤ、ノーマルタイヤとどちらの性能も必要以上に期待しないようにしましょう。
しかしながら、年々オールシーズンタイヤも改良・進化しており、最新のオールシーズンタイヤの中には、こうしたデメリットが大幅に改善されたモデルも出てきています。
▽オールシーズンタイヤとしての寿命は短い
冬用タイヤには「プラットホーム」と呼ばれる、冬用タイヤとしての使用限度溝残量を示す目印があります。おおむね新品タイヤの半分程度の残量になったとき、プラットホームが出てきます。
一方で、タイヤには「スリップサイン」と呼ばれるタイヤとしての使用限度を示す目印もあり、これは溝残量「1.6mm」の位置にあり、1.6mm以下になると車検にも通らなくなります。
オールシーズンタイヤには、この両方の目印がついているわけですが、冬用タイヤとしての使用限度目安となるプラットホームが出てしまうと、オールシーズンタイヤでも走行可能な冬の路面において安全走行が難しくなります。
オールシーズンタイヤは1年を通して履くことが想定されており、またノーマルタイヤよりも柔らかいコンパウンドが使用されていることもあり、摩耗が早い傾向にあります。
これらのことから1年を通して使用できる代償として、寿命が短い点はデメリットだと言えるでしょう(※特に冬用タイヤとしては)。