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「結婚したら地獄を見る」それでも嫁いだ31歳妻が明かす借金まみれの理由 銀行が貸してくれなかったら終わり…託されたみかん農園の厳しい現実

渡辺 晴子 渡辺 晴子

「『畑をやめる』ということは、みかんの木をすべて切るということです」

愛媛県で柑橘農園を営む女性が、Instagramで明かした厳しい現実が反響を呼んでいます。

高齢化などを背景に、地域では畑を手放す農家が相次いでいるといいます。産地を守りたいという思いから、頼まれるたびに園地を引き継いできた夫。しかし、畑の増加に人手が追いつかず、農園は赤字に。「銀行が貸してくれなかったら今年で終わりの可能性あり」と切実な状況を打ち明けました。

「結婚したら地獄を見る」夫から告げられた言葉

投稿したのは、愛媛県で柑橘農園を営む妻の「みかん家族|愛媛の柑橘農家」さん(@kanmisha_)。31歳の妻と40代の夫、0歳、1歳、3歳の子どもたちの日常や、農園を黒字化するための挑戦を発信しています。

高知県出身の妻は、大学や夢を追いながら、関西や関東を中心に各地で暮らしてきました。26歳のとき、自分の生き方を探すため、農家の住み込みアルバイトを始めます。

最初に働いたのが、現在の夫が営む愛媛のみかん農園でした。みかんのおいしさに衝撃を受け、雇い主だった夫にも惹かれたそうです。

結婚する際、夫から告げられたのは「結婚したら地獄を見る」という言葉でした。実際、農園には厳しい現実が待っていました。

引き継いだ園地は約16ヘクタール

夫は、農家を始めて22年目。地域で畑をやめる農家から「引き継いでほしい」と頼まれると、経営的に苦しくなると分かっていても断れなかったといいます。

現在、借りている畑を含めた園地は約16ヘクタールにまで広がりました。

廃業した農家の畑を誰も引き継がなければ、みかんの木が切られ、やがて雑木林になる可能性があります。虫が発生しやすくなり、イノシシなどの害獣も寄ってくるため、近隣の畑に被害が及ぶことも考えられるそうです。

さらに、みかん畑が減ることは、産地の景観や収穫量、ブランド力にも影響します。

「夫は、自分のことより、お世話になった地域や産地を守ることを優先する人です」

夫には、地域を託してくれた先輩との約束や夢があったのではないかと妻は考えています。

「周囲の人が何度説得しても折れなかったその志は、誰にもまねできないものだと気づき、支えたいと思うようになりました。夫とは一生分かり合えないところも含めて、面白い人だなと思っています」

園地が増えるほど膨らむ経費

農園の経営を最も圧迫しているのは、園地の拡大に伴って増えた経費です。なかでも、かん水などに使う南予用水事業の負担が大きく、妻は「毎年、その引き落としが一番怖い」と話します。

畑が増えても、資金には限りがあるため、一度に多くの人を雇うことはできません。人手不足で管理が行き届かない畑では、見た目の悪い柑橘が多くなり、園地ごとの収入が減少。さらに経営を苦しめる結果となりました。

一方、園地が増えたことで農園全体の収入は増えているとみなされ、収入保険が下りなかったといいます。

妻は、厳しい経営状況を隠さず発信した理由について、次のように語ります。

「農家の間では当たり前でも、農家ではない方は知らないことが多いかもしれません。発信することで問題意識や関心を持ってもらいたいと思いました」

過去にジュースを販売した際には、「わざとかわいそうな農家を装っているのでは」「農家は儲かっているはず」といったコメントが寄せられたこともありました。そのため、「シンプルに真実を伝えたかった」といいます。

また、自分たちが苦しい状況をさらけ出すことで、ほかの農家も「助けて」と声を上げるきっかけになってほしいという思いもありました。

JA出荷中心から個人販売へ

農園を存続させるため、夫婦は経営の見直しを進めています。まずは園地を精査し、栽培しにくい畑から手放すことでコストを削減する方針です。

これまでほとんどをJAへの出荷に頼ってきましたが、今後はスーパーとの直接契約や個人販売を中心とする体制へ切り替えていく予定です。SNSも、農家の実情を知ってもらうだけでなく、新たな販路を作るために活用しています。

実際、これまでの発信を通じて販路が生まれたり、問題を解決するヒントが寄せられたりすることもあったそうです。

さらに、日本人の若手を採用し、将来の後継者を育てたいと考えています。

投稿には、「みかん農家の実情が分かり、もっと応援したくなりました」「商品を買うことしかできなくて申し訳ない」「協力するにはどうすればいいでしょう?」「共同運営してくれる人材の募集が不可欠ですね」など、多くの声が寄せられました。

予想を上回る反響に、妻は「驚いていると同時に、感謝でいっぱいです」と話します。

訳あり品のキウイは10月半ばごろから、みかんは11月半ばごろから、ジュースは翌年6月ごろから販売する予定です。また、今後は作業を手伝うボランティアも募集し、お礼として訳ありのみかんなどを渡すことを検討しています。

「本当にうちの柑橘やジュースが欲しいと思ってくださる方に、ぜひ商品を選んでいただきたいです」

小さな子どもたちを育てながら、農作業と発信、販売に取り組む家族。産地を守ろうと引き受けてきた畑を、次の世代へつなぐための挑戦が続いています。

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