近年、出生時に血液型検査を行わない病院が増え、子どもの血液型を知らないまま育てている家庭も少なくありません。以前は当たり前のように行われていた血液型検査ですが、なぜ実施しない医療機関が増えているのでしょうか。
気になるのは、血液型が分からないまま子どもに大きなけがや病気が起こり、輸血が必要になった場合の対応です。そこで、泉佐野あだちクリニック内科・小児科・アレルギー科医師である安達晋吾さんに、子どもの血液型をめぐる現状について話を聞きました。
健康なら大きなリスクはなく、自主的な検査も可能
――なぜ出生時に血液型検査をおこなわない医療機関が増えているのでしょうか?
確かに、診療上必要な赤ちゃんを除き、出生時に一律の血液型検査を行わない医療機関が増えています。その理由として、新生児では抗A・抗B抗体が十分に作られておらず、成人で行う「オモテ検査」と「ウラ検査」による相互確認が困難なことが挙げられます。
また、出生時に血液型を知る医学的必要性が低く、不要な検査や採血を避ける考え方が広がったことも背景にあります。
――子どもの血液型が分からないまま育てることで、何かリスクはありますか?
健康な子どもが日常生活を送るうえで、血液型を知らないことによる医学的なリスクは、基本的にありません。
事故や手術で輸血が必要になっても、本人や家族から申告された血液型だけを根拠に輸血することはないからです。ですから、血液型を母子手帳などに記録していなくても、治療や救命処置が遅れることは通常ありません。
――血液型が分からない状態のお子様に輸血が必要になった場合、医療現場ではどのように対応されるのでしょうか?
輸血が必要な場合は、まず本人から採血し、ABO・Rh血液型などを迅速に確認します。大量出血などで検査結果を待てないときは、血液型が確定する前にO型赤血球製剤を使用し、判明後に原則として本人と同じ型の製剤へ切り替えます。
したがって、保護者が子どもの血液型を知らなくても、救急医療では安全に輸血を開始できる体制が整えられているのです。
――保護者が自主的に子どもの血液型を調べることはできますか?
可能です。希望する場合は、小児科、内科、健診を扱う医療機関などで、採血によるABO式・Rh式血液型検査を受けられることがあります。ただし、医学的な必要性がないと判断される場合は健康保険が適用されず、自費診療となるためご注意ください。
費用は医療機関によって異なりますが、おおむね1000~5000円程度です。診察料を含めてそれ以上になることもあるため、受診前の確認をおすすめします。
◆安達晋吾(あだち・しんご)
滋賀医科大学医学部卒業後、長浜赤十字病院、国立成育医療研究センター、りんくう総合医療センター・大阪府泉州救命救急センターなどで、小児と成人の救急・集中治療に従事。現在は泉佐野あだちクリニック内科・小児科・アレルギー科の院長として、地域の子どもから高齢者まで幅広く診療。小児科専門医、救急科専門医。
▽泉佐野あだちクリニック内科・小児科・アレルギー科
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