テレビで人気女優やタレントが過去の恋愛でつらかった経験を語っている姿を見て、母親は高校1年生の娘に何気なく話しかけました。
「こんなにかわいい人でも、恋愛で苦労するんだね」
すると、娘から返ってきた言葉は、母親の想像とは少し違うものでした。
「かわいいから恋愛の数も多いし、失敗することも多いんじゃない? 振られる経験があるってことは、それだけ恋愛できているってことだから」
その言葉に、母親は思わず驚いたといいます。
「恋愛で悩めること自体が羨ましい」
東京都在住のAさん(40代)は、高校1年生の娘を育てています。
普段から芸能人の話をすることもあり、その日もテレビをきっかけに恋愛について話していました。しかし、娘にとって「恋愛で傷ついた」という話は、母親のように「かわいそう」という感想にはならなかったようです。
「娘は『恋愛で悩める時点で勝ち組だよ』と言いました。好きな人ができたり、誰かに好かれたりする経験があること自体が羨ましいのだそうです」
確かに学校ではひときわ目立つタイプではないのですが本人は「陰キャでかわいくない」と思い込んでいます。しかし実際には、休日は友達と遊びに行き、男友達もいて、家でもよく友達と通話をしたりしています。しかし、恋愛は自分とは遠い世界の出来事だと感じているようです。
「親から見ると、まだ高校生なのだからこれからいろいろな出会いがあると思います。でも本人にとっては、SNSで見る華やかな同年代の子たちと自分を比べてしまうようです」
「結局、女の子は顔だよね」
Aさんとの会話の中で、娘は、容姿について話すたびにこう言います。
「結局、女の子は顔だよね」
そんな言葉を聞くたび、Aさんは複雑な気持ちになるそうです。
「性格が大事だよ、と言いたくなります。でも、娘がそう感じる背景には、SNSで常に誰かと比べてしまう環境もあるのかなと思います」
Aさんが高校生だった頃も、見た目を気にする時期はありました。しかし、当時はテレビや雑誌の中の憧れの存在を見ることが中心でした。
今の高校生は、スマートフォンを開けば、同年代の「かわいい」「人気者」と呼ばれる人たちが日常的に目に入ります。
母が知った娘世代の「かわいい」の重さ
「かわいい人でも恋愛で悩むんだね」という母親の言葉は、娘には違う意味で届いていました。
恋愛で傷つくことよりも、恋愛できる環境にいること自体を羨ましいと感じる。そこには、親世代とは異なる高校生ならではの価値観があります。
Aさんは、娘との会話を通じて、以前とは少し違う視点で話を聞くようになったといいます。
まだ高校生ですし、これからさまざまな経験を重ねる中で、感じ方も少しずつ変わっていくのではないかと思っています。今は娘の気持ちを否定せず、そっと見守っていきたいです。