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阪急京都線の女王6300系、引退間近 高級感醸すクロスシートの生地、小石模様の床 特急専用車両として愛された思い出の数々

新田 浩之 新田 浩之

ここで取り上げる阪急電鉄6300系は、かつて京都線の特急専用車両として活躍しました。現在は嵐山線(桂〜嵐山)で余生を送っています。

2026年7月現在、嵐山線で活躍する6300系は残り1編成(6352F)のみとなりました。嵐山線は2027年春頃からワンマン化される予定のため、6300系の引退は秒読みと言っていいでしょう。6300系の歴史を振り返りつつ、思い出話を語りたいと思います。

クロスシートの生地と小石模様の床に驚く

6300系は京都線特急専用車両として、1975年に登場しました。車体はドアを両端に寄せ2ドアにし、ドア間には2列+2列のクロスシートが配置されました。6300系のポイントはクロスシートの生地にあると思います。登場時のシートの生地は現在とは異なり、上質の段織りのゴールデンオリーブでした。昭和の時代、高級ソファは金華山織りをはじめとする立体的な質感が多く、私が子どもの頃(平成初期)でも、「高級ソファは生地が立体的」というイメージがありました。

そのため、6300系のクロスシートは平成以降に登場したくぼみにより1人分を区分けするバケットシートではありませんが、独特の高級感を醸し出していました。

個人的には、クロスシートもさることながら、小石模様の床面に子ども心に驚いたものです。まるで、ちょっと高めの和風レストランみたいで、神戸線利用者の私にとってはテンションが上がりました。

 両端に2ドアという構造がネックに

1975年の登場時から2010年2月まで、6300系は京都線で主に特急・通勤特急を担当しました。ただし、6300系の歴史を考える上で、特急停車駅の変遷は無視できません。つまり、1975年~1997年までの十三~大宮間のノンストップ時代、1997年~2010年までの中間駅停車時代に分けられると思います。

十三~大宮間のノンストップ時代の特急は原則として6300系以外は担当せず、名実ともに特別な列車でした。この時期が6300系の全盛期だったと思います。

しかし、JR西日本の新快速の攻勢などにより、京都線の特急は停車駅を増やす方向に。1997年に高槻市駅、2001年には茨木市駅、長岡天神駅、桂駅が特急停車駅に加わり、特急の性格は大きく変わりました。

特に2001年以降は特急の本数増加により、日中時間帯に6300系だけでなく、ロングシート車両も特急運用に就きました。

ここで、6300系の特徴である2ドアがネックに感じました。つまり、中間主要駅にて3ドア車よりも明らかに乗降に手間取り、6300系が心なしか肩身が狭そうに見えました。ノンストップ時代は基本的に京都方面であれば、十三駅は乗車のみ、大宮駅・烏丸駅では降車のみ。また、停車駅が少ないこともあり、駅での乗降に問題はなかったように感じました。

停車駅増加の流れから、2003年に登場した京都線特急型車両9300系は3ドアになりました。2010年2月、観光列車に改造された「京とれいん」(2011年3月デビュー)を除き、6300系は京都線から撤退。「京とれいん」以外の一部車両は嵐山線に移りました。

その後、十三駅のホームドア設置により、6300系「京とれいん」は試練を迎えました。先述したとおり、6300系は車体両端にドアを設置したため、標準車に合わせたホームドアとの間にズレが生じることに。

そこで、阪急は2019年1月に「京とれいん」専用種別として十三駅通過の「快速特急A」を設定しました。「通過」といっても、十三駅に「一時停車」し、ドアは開かずに発車するというもの。十三駅に一時停車する6300系を見ると、栄光の時代を知っているだけに、複雑な気持ちになりました。京とれいんは2022年12月のダイヤ改正を期に、引退しました。

一方、のんびりと余生を暮らしている、嵐山線向けの6300系改造車を見ると、どこかホッとした気分になったものです。

個人的には、このまま大きなトラブルもなく、敢えてひっそりと引退して欲しいな、という気持ちがあります。

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