「図書館に行ったら“これから関西人が関西弁の絵本の読み聞かせをするんですが、いかがですか?”と言われ、思わず聞きに行ってしまった」
最近は関西弁の絵本が増加している印象のなか、読み聞かせ会はどんな様子だったのでしょうか?ぬまんちゅさんに取材。あわせて、関西弁絵本事情について、絵本の出版・販売を行う「クレヨンハウス」(本社:大阪府吹田市)に聞きました。
ネイティブ関西弁に全員大ウケ!
関東圏にある図書館のスタッフに、関西人による読み聞かせ会を案内されたぬまんちゅさん。
「素敵な誘い文句でしたので、聞きたくなって行きました。“読み聞かせをやるのでよかったらどうぞ”という声かけなら、行くことを迷ったかもしれないのですが、ネイティブの発音で聞けると教えてくださったので。
関西弁の絵本を、関東出身の私が読むとどうもうまく読めなくて。これからの自分の読み聞かせにも活かせるところがあるかもしれないと思ったのもあります」
読み聞かせ会に集まったのは10人ほど。子どもとその保護者の組み合わせが多かったそうです。
読み聞かせの人は「ほな、始めましょか」と簡単な自己紹介からスタート。その話にもしっかりオチがあり、「さすが」と感心したぬまんちゅさんたちに、「オチがないときは“…ってオチはないんやけどな”と言えばいいんです。そしたら“ないんかーい”となって、これ自体がオチになる」とレクチャーがあったそう。
絵本の中の関西弁はコテコテ風味が強めで、普段はこんなにコテコテの関西弁で話さないけれど、読み聞かせのために練習しているという話も。その全力で取り組む熱心な姿勢にも心を鷲掴みにされました。
序盤に、すっかり読み聞かせの人のペースに巻き込まれ、絵本の読み聞かせがスタート。読んだのは『ぼちぼちいこか』『どこいったん』『大阪うまいもんのうた』の3冊でした。子どもたちは本当にお腹を抱えて笑い、「本場の発音だ」と感心している大人もいたそうで、「普段の読み聞かせ会より、笑いが多かったと思います」。
読み聞かせ自体は休日によくやっているイベント。偶然、関西弁の読み聞かせに参加できたことをラッキーに思うとともに、「関東人が関西弁の読み聞かせをするのは難しいことだと分かりました(笑)。関西以外の地域に住む関西弁ネイティブの方、読み聞かせの需要がありますよー!とお伝えしたいです」。
今後は、関西弁を含めた、方言ネイティブによる絵本の読み聞かせ会が増えることを期待しています。
心がゆるむ関西弁の語り口調
東京・大阪に店舗を構えるクレヨンハウスによると、「以前は、店内で関西弁の絵本について聞かれることもありましたが、最近は、ネットなどで情報をキャッチされてからいらっしゃる方が多いようです」と同大阪店担当者。
規模や売上が異なるため東京・大阪の店舗で比較が難しいとのこと。子どもたちに読み聞かせの活動をされている人、わが子に買い求める人など購入者層はさまざまだそうです。
「一番わかりやすい大阪弁の絵本でロングセラーの『ぼちぼちいこか』は、子どもからおとなまで年齢問わず、高い人気です。大阪の方が売上冊数が多く、大阪弁の絵本を読みたい方が多いのかもしれません」
また『大阪うまいもんのうた』『たこやきのたこさぶろう』『うどんのうーやん』などは根強い人気で、小学生たちには幼年童話の『れいぞうこのなつやすみ』や、30巻もある「日曜日」シリーズなどが好評。
「『どこいったん』『ちがうねん』は、大阪出身の絵本作家・長谷川義史さんが翻訳しました。作者ジョン・クラッセンさんは、今年アストリッド・リンドグレーン賞を受賞した注目の絵本作家です。日本でこれだけ受け入れられたのは、関西弁のユーモアと間が作品にマッチしたからではないでしょうか」
今やテレビなどでも当たり前のように聞く「関西弁」は、すっかり全国区で耳になじむ言葉に。ユーモラスな印象を与えることも多く、『どこいったん』も「怖い」という印象を受ける内容ですが、関西弁のおかげで緩和されているように感じます。大阪人の筆者としても、通常の絵本よりも感情移入しやすく、音読するならイントネーションをさらに誇張してしまいます。
ほわっと柔らかくも、面白さもしっかり感じさせる関西弁の絵本に、子どもも大人も癒されたり、泣かされたり、笑わされたり、元気をもらったりするのかもしれません。
■沼人(ぬまんちゅ) まや X @tarachinemum