「ヘリコプターペアレント」という言葉をご存知でしょうか。ヘリコプターのように子どもの頭上を旋回し、過干渉になってしまう親のことです。
昔から、子を持つ親の不安は尽きません。我が子を守りたい一心で、関心が高まるのは当然のこと。「うちの子、学校で一人ぼっちじゃないかな」ーーそんなふうに、ついつい気を揉んでしまう親御さんも多いはずです。子どもの交友関係をサポートすべきか否か。本当に悩ましい問題ですよね。
今回は、そんな葛藤を抱えたある母親のお話。F県にお住まいのE子さん(40代・女性)から寄せられた、少しほろ苦いエピソードをご紹介します。
人見知りの息子のために、奮闘する母
E子さんには当時、大きな悩みがありました。そのとき小学4年生だった息子さんのことです。
「うちの息子、昔からすごく人見知りで。輪に入れずに独りポツンとしている姿を見ると、親としてはやっぱり焦っちゃうんです。なんとか交友関係を広げてあげたい。その一心で、積極的に動きました」
我が子を心配するあまり、E子さんは一つの作戦を立てました。
「クラスメイトのWくんを、かなり頑張って頻繁に家に招待したんですよ。Wくんと息子のお気に入りのお菓子や、ちょっと値の張るフルーツなんかも毎回用意して。
私も積極的に遊びに参加して、お絵かきをしたりゲームをしたり。あのときは、息子のためを思って、私なりに必死で気を配りました」
まさに至れり尽くせりの接待。しかし、その努力は思いもよらない形で打ち砕かれます。ある日、いつものように家に遊びに来たWくんが、思いもよらない一言を放ったのです…。
えっ…そんなこと思ってたの!?
「僕、息子くんじゃなくて、息子くんのママに遊んでもらいたいんだ。だから息子くんは居なくていいよ」
悪気のない子どもの本音。ですが、E子さんは絶句してしまったといいます。深いショックを受ける彼女に、当の我が息子までもがこう言いました。
「僕だって、Wくんのこと友達だと思ってない。無理して呼ばなくていいよ」と。
「良かれと思ってやっていたことが、完全に私の自己満足だったのに気づきました」…反省したように俯くE子さん。
それからというもの、Wくんとはすっかり疎遠になってしまったそうです。とはいえ、この話は決して悲しい結末では終わりません。息子さんが5年生になったとき、クラス替えを機に、自然と気の合う友達ができたのです。
「今は毎日、本当に楽しそうに学校へ行っています。私が頑張ってあれこれしなくても、息子が自ら進んで友達を家に招待したり、公園に遊びに行ったり。
その背中をリビングから見送るたび、心の底から安心するんです。あぁ、これでよかったんだなって」
そう語るE子さんの顔は、晴れやかでした。
悩みは尽きない…みんなの「過干渉」エピソード
E子さんのように「つい我が子に干渉してしまった」と後悔する親御さん。あるいは「親の勝手な行動で恥をかいた」と振り返る元・子ども。
取材でわかった、当事者たちのリアルな声を他にもご紹介します。
・高校生の息子、部活で頑張っていたのですがレギュラーを外されてしまいました。夫はどうしても納得できず、監督に対して直接電話で抗議してしまったんです。息子から「みっともないから二度と試合に来ないで」と激怒されて、夫も自分がやりすぎてしまったことに気付いていました…。(50代・女性・専業主婦)
・中学生だった頃の思い出です。母、私がグループ内で浮かないかどうか、いつも過剰なほど心配していました。友達と同じブランドの服や靴を、頼んでいないのに買ってくるんです。「そこまで合わせなくてもいいよ…」その時の母のハッとした顔。愛情ゆえとは分かっていたけど、当時は親の不安を背負わされているようで少し窮屈でした(20代・女性・学生)
確かに、我が子が孤立している姿を想像するのは非常に辛いものです。
だからといって、複雑な友人関係まで親が完璧にコントロールすることは不可能に近いでしょう。大人に相性があるように、子ども同士にも理屈抜きの相性があります。
少し離れた場所から、我が子の力を信じて見守るーーそれもまた、愛情表現のひとつなのかもしれませんね。
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