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50代で「持ち家vs賃貸」どちらが安心?どちらが向いてる? 老後資金と暮らし方で変わる「生涯コスト」【社会福祉士が解説】

もくもくライターズ もくもくライターズ

地方都市の賃貸マンションで一人暮らしをしている53歳の契約社員、芦田さん。40代で離婚し、現在は月収20万円前後で生活しています。家賃は、管理費込みで月6万円です。

物価上昇で生活費が増える一方、収入はほとんど変わらず、「今後、年金生活になっても家賃を払い続けられるのか」と不安を感じています。一方で、住宅購入も検討していますが、ローンや修繕費、固定資産税などの負担を考えると、どちらがよいか決め切れずにいます。

50代になると、老後資金や年金生活を現実的に考える人が増えてきます。一方で、この年代は、住宅ローンの審査が厳しくなるなど、住み替えが難しくなる時期でもあります。そのため、「今の住まいのままで老後を迎えられるのか」と不安を抱えるケースも少なくありません。

実は、持ち家・賃貸の比較ももちろん大切ですが、合わせて50代のうちから知っておきたい「住宅支援制度」も存在します。詳しく見ていきましょう。

持ち家の生涯コストとは?安心感と維持費の負担

持ち家の大きなメリットは、住宅ローンを完済すれば家賃負担がなくなり、老後の固定費を減らせる点です。また、資産として売却や相続も可能で、バリアフリー化など自由にリフォームできる利点もあります。

一方、ローン完済後も固定資産税(年間10〜15万円)や、マンションなら管理費・修繕積立金(月2〜3万円)が必要です。戸建てでも外壁や屋根の修繕費が発生し、築年数が古くなるほど出費は増えます。

また近年は、空き家の増加や住宅価格の下落により、売却や相続時に負担となるケースも少なくありません。「住み続けるか」だけでなく、「将来どう処分するか」まで考える必要があります。

賃貸の生涯コストとは?身軽さと家賃を払い続ける現実

賃貸住宅は、家族構成や収入の変化に応じて住み替えしやすく、駅近やバリアフリー物件への移動も柔軟です。建物の修繕費を負担しなくてよい点もメリットです。

一方、家賃は一生払い続ける必要があります。たとえば月10万円なら年間120万円、20年で2400万円を超えます。さらに更新料、火災保険料、引っ越し費用なども必要です。

また、高齢になると入居審査が厳しくなります。大家側が、家賃滞納や健康状態の急変、孤独死、緊急時の対応などに不安を感じるケースがあるためです。保証人を求められるケースも多く、老後も賃貸で暮らす場合は、元気なうちから住まいの選択肢を広げておくことが重要です。

50代からの住まい選びは持ち家vs賃貸どちらが安心?

持ち家と賃貸には、それぞれ異なるメリットとデメリットがあります。そのため、「どちらが絶対に正解」とは言い切れません。

大切なのは、自分の状況に合った住まいの選択です。老後資金や年金額だけでなく、健康状態や家族構成も含めて考える必要があります。

50代は、老後に向けて住まいを見直すのに適した時期です。将来の暮らし方を具体的にイメージしながら、無理のない計画を立てましょう。

▽持ち家が向いている人

以下の特徴に当てはまる人は、老後の住まいは持ち家が向いています。

・老後も同じ地域に住み続けたい人
・住宅ローン完済の見込みがある人
・修繕費を準備できる人
・子どもに資産を残したい人

持ち家は、住宅ローンが終われば家賃の支払いがありません。年金生活で収入が減る可能性を考えると、老後の安心感につながりやすいでしょう。

ただ、ローンを完済しても固定資産税や修繕費などの維持費は必要です。

▽賃貸が向いている人

以下の項目があてはまる人は、賃貸が向いています。

・一人暮らしの人
・1カ所に住み続けず住み替えを考えている人
・修繕費を負担に感じている人
・老後はコンパクトに暮らしたい人

賃貸は、ライフステージに合わせた住み替えをしやすい点が魅力です。また、固定資産税などの維持費がないため、家を「負動産」として抱えるリスクもありません。

一方で、高齢になると入居審査が厳しくなる物件が少なくありません。老後も賃貸で暮らす予定の人は、早めに住まいの選択肢を考えておきましょう。

50代から知っておきたい高齢者の住宅支援制度とは?

50代のうちから、高齢になっても安心して暮らせるよう、バリアフリーや安否確認、緊急時のサポートが受けられる住宅支援制度を知っておくと、老後も安心です。

ただし、いずれの住宅も介護施設ではないため、ある程度自立した生活ができる人が対象です。

▽シルバーハウジング(高齢者向け公営住宅)

シルバーハウジングは、高齢者が安心して暮らせるように配慮された公的な賃貸住宅です。ただし、入居するには、収入条件などの入居資格を満たす必要があります。

【メリット】

・比較的安い家賃で入居できる場合がある
・生活支援を受けられる
・安否確認・緊急時の通報に対応している

【デメリット】

・物件数が少ない
・希望者が多く入居の競争率が高い
・年齢、所得、健康状態などの条件が厳しい

バリアフリー設計に加えて、生活援助員による安否確認や生活相談などの支援が受けられます。

▽サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)

サービス付き高齢者向け住宅は、高齢者が安心して暮らせるように設計された賃貸住宅です。バリアフリー化された住居に加え、安否確認や生活相談サービスが付いています。見守りや生活相談を受けつつ、自立した生活を続けたい人や、将来的な介護に備えての住み替えを考えている人におすすめです。

【メリット】

・バリアフリー設備が整っている
・安否確認や生活相談を受けられる
・比較的新しい物件が多い
・必要に応じて外部介護サービスを利用できる

【デメリット】

・一般型の場合は介護サービス費用が別途かかるケースがある
・重度の介護状態になると住み続けにくい場合がある
・一般的な賃貸住宅より費用が高め
・食事や生活支援の内容は施設ごとに差がある

また、介護施設ではないものの、外部の介護サービスを組み合わせながら生活できる利点があります。

▽セーフティネット住宅

セーフティネット住宅は、空き家や空き室を活用した賃貸住宅です。高齢者に限らず、低所得者、障害者、子育て世帯など、住まい探しに困難を抱える幅広い方に対応しています。空き家や空き室を活用した住まいを探している人や、自治体による家賃補助・保証料補助などの対象になる可能性を確認したい人にとって、選択肢の一つになります。

【メリット】

・幅広い方が利用できる
・家賃や保証料などの補助を受けられる場合がある
・居住支援協議会による相談や紹介を利用できる

【デメリット】

・物件によって設備や状態に差がある
・支援内容が自治体や物件ごとに異なる

また、お住まいの自治体によっては、家賃や保証料などの補助が受けられます。

   ◇   ◇

芦田さんは、老後資金を試算した結果、現在の家賃6万円で年金生活を送るのは難しいと判断しました。そこで、現在よりも家賃を抑えられる民間賃貸やセーフティネット住宅への住み替えを検討しています。また、住居費を抑えられる高齢者向け公営住宅にも応募しています。競争率は高いものの、入居を目指して応募を続けているそうです。

住宅支援を利用したい場合は、まず市区町村の福祉課や住宅相談窓口、居住支援協議会へ相談すると安心です。住まい探しや利用できる制度について、専門家が無料で相談に応じてくれる自治体もあります。

持ち家と賃貸は、どちらにも費用とリスクがあります。「得か損か」だけでなく、自分の老後資金や暮らし方に合っているかで決めてください。

50代は、住まいを見直す重要なタイミングともいえます。老後の生活費を具体的に試算しながら、無理のない選択を考えましょう。

【出典】

▽日本年金機構「令和7年4月分からの年金額等について」
https://www.nenkin.go.jp/oshirase/taisetu/2025/202504/040102.html

▽生命保険文化センター「老後の生活費はどれくらい?」
https://www.jili.or.jp/lifeplan/lifesecurity/1130.html

▽総務省「固定資産税」
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/150790_15.html

▽国土交通省「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律(住宅セーフティネット法)等の一部を改正する法律」
https://www.zennichi.or.jp/wp-content/uploads/2024/05/9e167619a2aaa646633e9c6564134c82.pdf

▽UR都市機構「持ち家なしで老後は大丈夫?賃貸を選択するときに気を付けたいこととは」
https://www.ur-net.go.jp/chintai/college/202207/000914.html

【監修】勝水健吾(かつみず・けんご)社会福祉士、産業カウンセラー、理学療法士、身体障がい者(HIV感染症)、精神障がい者(双極症Ⅱ型)、セクシャルマイノリティ(ゲイ)の当事者。現在はオンラインカウンセリングサービスを提供する「勇者の部屋」代表。

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